ロコモーション号(読み)ろこもーしょんごう(英語表記)Locomotion

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロコモーション号」の意味・わかりやすい解説

ロコモーション号
ろこもーしょんごう
Locomotion

世界最初の商用蒸気機関車イギリスのG・スティーブンソンが1825年に製作した。ストックトン―ダーリントン間の石炭輸送鉄道での実験で、90トンの石炭列車を引いて時速18キロメートルを記録し、馬に勝ることを証明し、鉄道の夜明けをもたらした。動輪二対の0‐B‐0形機関車で、1869年まで稼動し、現在は鉄道発祥の地ダーリントンに保存されている。蒸気機関を輸送用に使うことは以前から試みられ、1804年にはイギリスでトレビシックレールの上を走る蒸気機関車をつくっている。しかしレールの強度に比べて機関車が重すぎ、1809年の公開試運転は脱線転覆して失敗に終わり、研究をやめてしまったが、彼の孫は日本に来て鉄道を開通させた。

[吉村光夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「ロコモーション号」の意味・わかりやすい解説

ロコモーション号【ロコモーションごう】

1825年英国のストックトン〜ダーリントン間の鉄道に使用されたG.スティーブンソン製作の蒸気機関車。垂直シリンダー,2動輪で,機関車を含め90tの車両を引いて時速16〜19kmを出したと記録されている。
→関連項目蒸気機関車

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のロコモーション号の言及

【蒸気機関車】より

…ボイラーをもち,蒸気機関を原動機とした機関車。日本では英語のsteam locomotiveの頭文字をとってSLと略称されることも多い。
[発達と衰退の歴史]
 蒸気機関で車輪を回して走る蒸気車が出現したのは,J.ワットが蒸気機関を発明してまもなくの1769年で,フランスのN.J.キュニョーによって試みられ,ふつうの道路を時速3.6kmの速さで15分間走行したといわれている。蒸気機関車を発明したのはイギリスのR.トレビシックで,彼はそのころ広く敷設されていた馬車鉄道に着目し,そのレール上を走る蒸気機関車を1804年に製作した。…

【スティーブンソン】より

…1813年に炭鉱主から蒸気機関車の製作を委託され,14年にブリュッヘル号の試運転に成功,また15年には坑内安全灯を発明した。23年に機関車製作工場を設立し,25年に同工場で製作したロコモーション号がストックトン~ダーリントン間において世界最初の旅客列車を牽引,さらに29年にはリバプール~マンチェスター間で行われた機関車コンクールへ息子R.スティーブンソンと製作したロケット号を出し,優勝した。この機関車と鉄道敷設技術によって,30年に同区間の営業が開始され,大量輸送機関としての鉄道の地位が不動のものとなった。…

※「ロコモーション号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android