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機関車 きかんしゃlocomotive

翻訳|locomotive

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

機関車
きかんしゃ
locomotive

客車,貨車などを牽引して線路上を運転する動力車両。使用動力の種類によって蒸気機関車電気機関車,特殊機関車に区分される。特殊機関車とは蒸気および電気機関車以外の原動機をもつ機関車の総称で,内燃機関車 (ディーゼル機関車,ガソリン機関車,ガス機関車など) ,蒸気タービン機関車蓄電池機関車圧縮空気機関車などがある。客車用,貨車用のほか入替え用,勾配区間用,坑内用などに用いられる。

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百科事典マイペディアの解説

機関車【きかんしゃ】

原動機をもち客車・貨車を牽引(けんいん)する鉄道車両で,旅客・貨物の積載設備をもたないもの。原動機の種類により蒸気機関車電気機関車ディーゼル機関車に分ける。

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世界大百科事典 第2版の解説

きかんしゃ【機関車 locomotive】

原動機を搭載して自走できる鉄道車両で,自らは旅客や貨物は積まず,客車や貨車など自分では走行できない車両を連結してけん引するものをいう。搭載する原動機の種類によって電動機を用いる電気機関車,ディーゼルエンジンを用いるディーゼル機関車,蒸気機関を用いる蒸気機関車,ガスタービンを用いるガスタービン機関車などに分けられるが,これをさらに使用目的から本線用,支線用,こう配用,補機用,入換え用などに,またけん引する列車の種類によって旅客列車用,貨物列車用,客貨両用などに分類することもある。

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大辞林 第三版の解説

きかんしゃ【機関車】

客車や貨車を牽引けんいんするための機関を備えた鉄道車両。使用する動力によって、蒸気・電気・ディーゼルなどの機関車に分ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

機関車
きかんしゃ

客車、貨車などを牽引(けんいん)するための鉄道車両で、自走できる原動機を備え、旅客、貨物などを積載する設備をもたないもの。
 原動機の種類によって、蒸気機関車(テンダー機関車、タンク機関車)、電気機関車(直流機関車、交流機関車、交直流機関車)、ディーゼル機関車(機械式機関車、電気式機関車、液体式機関車)、特殊機関車(無火機関車、タービン(蒸気、ガス)機関車)などがある。用途別では、旅客用、貨物用、客貨用、入れ換え用、勾配(こうばい)用などに分けられ、また、列車の種類によって急行列車用、普通列車用、さらに、線路の種別によって本線用、支線用などに分けられる場合がある。[松澤正二]

機関車の歴史と種類

鉄道の創設期に採用できた動力源は蒸気しかなく、しかも蒸気動力機関は、客貨車の床下や室内の一部に搭載できるような小型のものは機構上困難であったので、動力装置のみの車両である機関車が、トレーラーとしての客車や貨車を牽引する方式が基本であった。
(1)蒸気機関車 蒸気を動力源とする蒸気機関車は、前述の理由から歴史がもっとも古く、1804年にイギリスのトレビシックが、初めてレールの上を走る機関車を製作した。次に同じイギリスのジョージ・スティーブンソンは、本格的な機関車を製作して1814年に運転に成功、さらに1825年、ストックトン―ダーリントン間の世界最初の営業用鉄道に使われたロコモーション号を製作した。さらにスティーブンソンと息子のロバートは1829年には、同じイギリスのリバプール―マンチェスター間の鉄道に使う機関車のコンテストに優勝したロケット号を製作した。このロケット号は、基本的な理論においては現在の蒸気機関車となんら変わることがなく、この往復運動機関式の設計が世界各国で踏襲され、改良が加えられ、鉄道の発展の原動力となった。
 日本の蒸気機関車の始まりは、1872年(明治5)の新橋(のちの汐留(しおどめ)駅、1986年廃止)と横浜(現桜木町駅)間の開業に先だち、鉄道の技術とともにイギリスから輸入したタンク機関車10両である。そのうちの1号の番号がつけられた機関車(一号機関車)は、1958年(昭和33)に鉄道記念物、1997年(平成9)に国の重要文化財に指定された。現在は埼玉県さいたま市の鉄道博物館に保存展示されている。また、三号機関車(110形蒸気機関車)も鉄道記念物に指定されており、東京の青梅鉄道公園(おうめてつどうこうえん)に保存展示されている。1976年(昭和51)3月、国鉄(現JR)が蒸気機関車を全廃して以来、観光客を対象とした例外的な運転はあるものの、基本的に蒸気機関車の営業運転は行われていない。
(2)電気機関車 蒸気機関車に遅れること約70年、1879年に開催されたベルリン勧業博覧会場において、ドイツ人のジーメンスが発表した小型の直流電気機関車で、18人の観覧者を乗せた車両を引いたのが最初である。1880年にはアメリカのエジソンも電気機関車を製作した。以後はドイツ、スイスなどで発達し今日に至っている。
 日本の電気機関車の始まりは、1912年(明治45)に信越線の横川―軽井沢間の碓氷(うすい)峠用のアプト式鉄道区間に採用したもので、ドイツから輸入した小型の10000形(EC40形)である。この機関車は鉄道記念物として軽井沢駅の(旧)軽井沢駅舎記念館に保存されている。平坦(へいたん)線での本格的な使用は、1925年(大正14)に東海道本線の東京―国府津(こうづ)間および東京―横須賀間で、イギリスとアメリカから輸入した機関車である。
(3)ディーゼル機関車 内燃機関車の主力をなすもので、ほかにガソリン機関車があるが、現在はほとんど使われていない。ディーゼル機関車は1912年にドイツで製作されたが、本格的な機関車として活躍し始めたのはアメリカで、1940年ごろのことである。
 ディーゼル機関車には、ディーゼル機関の回転を直接、歯車式変速機によって速度を変換して駆動する機械式と、ディーゼルエンジンで発電機を回し、発生する電力でモーターを駆動する電気式と、ディーゼル機関の回転を、液体変速機を介して車軸に伝えて駆動する液体式の3方式がある。
 日本のディーゼル機関車の始まりは、1929年(昭和4)と1930年にドイツから、DC11形の電気式とDC10形の機械式の機関車を賠償として入手したものである。ともに国情にあわず、1932年に小型のDB10形を、1935年に本線用のDD10形を製作したが、戦争のため燃料が入手難となり中止された。第二次世界大戦後の1953年(昭和28)に電気式のDD50形が、続いて1957年にDF50形が製作された。その後、液体変速機の開発が進むとともに、小型のDD13形、大型のDD51形が製作され、現在はほとんど液体式が使用されている。また、ガスタービン機関やジェット機関をもった機関車もあるが、特殊機関車として扱うのが適切なくらい少数である。[松澤正二]

各機関車の比較

蒸気機関車、電気機関車、ディーゼル機関車には、その動力源および構造上それぞれの長所と短所がある。
 鉄道創業時から約100年余りにわたって、蒸気機関車は主力機関車であった。燃料効率がわずか5~7%でありながら使用されていた理由は、低速時に最大牽引力を発揮すること、速度制御が容易にできること、一時的に過酷な使用にも耐えること、構造が比較的簡単で、故障しにくいなどの利点があったためである。しかし、低効率と、煤煙(ばいえん)により乗務員や乗客が不快となり、保守に手がかかることなどの欠点がある。効率の向上を図るため、蒸気機関の方式をタービン式、高圧式、複式等にする研究がなされたが、効率向上のわりに構造が複雑となり、結果としては電気機関車、ディーゼル機関車に活躍の場を譲ることになった。
 電気機関車は、効率が約30%と高く、動力源の電気を架線等から受けるため、機関車重量当りの出力が大きい利点がある。しかし、電気運転のための変電設備、給電設備等に相当な経費を必要とするので、輸送密度の高い線区でないと採算性がよくない。
 ディーゼル機関車は、内燃機関車のうちではもっとも効率が高いディーゼル機関を使用しているため、効率は20~25%で、電気機関車に比較してやや低いが、電気機関車のような地上設備が不要なので、蒸気機関車の代替をすることが容易である。しかし、機構がやや複雑で、エンジンの出力は蒸気機関車のような無理がきかない欠点もある。
 以上、三者の特性により、動力近代化と省エネルギー時代に即する機関車としては、輸送密度の高い線区は電化により電気機関車が、他の閑散線区においてはディーゼル機関車の使用が適切である。[松澤正二]
『日本国有鉄道編『鉄道辞典』上下(1958・財団法人交通協力会) ▽久保田博著『最新鉄道車両工学』(1968・交友社) ▽宮沢孝一・関崇博著『万有ガイド・シリーズ25 機関車 電気・ディーゼル』(1983・小学館) ▽斎藤晃著『蒸気機関車の興亡』(1996・NTT出版) ▽斎藤晃著『蒸気機関車の挑戦』(1998・NTT出版) ▽久保田博著『鉄道車両ハンドブック』(1997・グランプリ出版) ▽『「図説」電気機関車全史 明治・大正期の輸入電機からJR貨物の新世代電機まで』(2004・学習研究社) ▽水島とほる著『蒸気機関車誕生物語』(2004・グランプリ出版) ▽寺田裕一著『私鉄機関車30年――激減した私鉄の機関車・全形式写真と解説で30年間を記録』(2005・JTBパブリッシング)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

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