イギリスの機械技術者。コーンウォールの鉱山監督の子として生まれる。1790年、コーンウォールの錫(すず)鉱山の技師となり、1797年に高圧複動蒸気機関を初めてつくり、鉱石の巻き上げ装置に利用した。1801年には蒸気機関を動力とした車両の路上での試運転に成功し、さらに1804年、鋳鉄製のレール(ペニーダーラン軌道Penydaran tramway)上を走る蒸気機関車の実験を行った。しかし当時のレールは機関車の重量に耐えられず、長期的な運転は断念した。この機関車は最初の鉄道用蒸気機関車とされ、イギリスでは彼を「蒸気機関車の父」とよんでいる。さらに、揚水用高圧ビーム機関(1812)、プランジャー・ポール機関(1815年特許)や、脱穀・製粉などの農業用の機関を製作したが、生涯貧しかった。
なお、孫のR・F・トレビシックRichard Francis Trevithick(1845―1913)は、1888年(明治21)に汽車監察方として着任、官鉄神戸工場にて日本最初の国産蒸気機関車860形を製造(1893)したのをはじめ、日本の技師養成に功績を残している。また、その弟のF・H・トレビシックFrancis Henry Trevithick(1850―1931)は兄より早く1876年来日、1889年汽車監督となり、1893年には信越線横川―軽井沢間のアプト式機関車の試運転を担当、同年に開通させている。
[松澤正二]
イギリスの技術者。コーンウォールに鉱山監督の子として生まれる。同地には有名なスズ鉱山があり,排水装置としてニューコメン機関をよく利用し,優秀な技術者を育てていた。1777年バーミンガムからボールトン=ワット商会の技術者がきて商売をしていたが,1800年コーンウォールから引き上げ,地元の技術者の奮起が求められた。トレビシックは19歳のときエンジン技師の徒弟となったが,1800年従来のものより小さくて価格も低い複動の高圧蒸気機関を作った。また蒸気機関を用いた車両の製作を志し,01年蒸気車を,そして04年には蒸気機関車を作って10tの鉄と70人の人を乗せた5台の車両を牽引して時速5マイルで走らせたものの,レールが弱かったため持続運転はできず,世間からはほとんど注目されなかった。以後はもっぱら高圧蒸気機関の改良に努め,16年銀鉱山用として注文を受けた高圧蒸気機関を据えつけるためペルーへ渡ったが,戦争にまき込まれるなどの不運に会い,27年ほとんど一文なしの状態でイギリスに帰国,その後も経済的にめぐまれないままで一生を終えた。
執筆者:高山 進
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…回転打撃式削岩機は大型のものが多く,もっぱら油圧で駆動される。
[発達の歴史]
削岩機の歴史は,1813年にイギリスのトレビシックR.Trevithickが発明した蒸気動回転式削岩機にさかのぼる。その後,49年にアメリカのクーチJ.J.Couchによって蒸気動打撃式削岩機が発明された。…
…回転打撃式削岩機は大型のものが多く,もっぱら油圧で駆動される。
[発達の歴史]
削岩機の歴史は,1813年にイギリスのトレビシックR.Trevithickが発明した蒸気動回転式削岩機にさかのぼる。その後,49年にアメリカのクーチJ.J.Couchによって蒸気動打撃式削岩機が発明された。…
… 蒸気自動車の発達の舞台はその後フランスからイギリスへと移り,蒸気機関の技術開発が急速に進んだ19世紀に入るや本格的な実用化をみることになる。R.トレビシックは1801年のクリスマスに数名を乗せて蒸気自動車を走らせることに成功,これは実用にまでは至らなかったが,25年にはガーニーGoldsworthy Gurney(1793‐1875)やハンコックWalter Hancock(1799‐1852)の乗合蒸気バスが登場し,30年代に入るとチャーチWilliam Churchの50人乗り大型バスがロンドン~バーミンガム間約180kmを運行するなど,通称〈馬なし馬車〉と呼ばれた蒸気自動車はその黄金時代を迎えた。しかし,蒸気バスが交通機関にさらに進出するようになると,ボイラーの爆発事故,ばい煙や火の粉をまき散らすなどの安全・公害問題がクローズアップされるようになった。…
…
[発達と衰退の歴史]
蒸気機関で車輪を回して走る蒸気車が出現したのは,J.ワットが蒸気機関を発明してまもなくの1769年で,フランスのN.J.キュニョーによって試みられ,ふつうの道路を時速3.6kmの速さで15分間走行したといわれている。蒸気機関車を発明したのはイギリスのR.トレビシックで,彼はそのころ広く敷設されていた馬車鉄道に着目し,そのレール上を走る蒸気機関車を1804年に製作した。08年には公開実験も行われたが,当時のレールでは機関車の重さに耐えられず,トレビシックの考案は注目を浴びるまでには至らなかった。…
※「トレビシック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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