日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロッチ」の意味・わかりやすい解説
ロッチ
ろっち
Abbot Lawrence Rotch
(1861―1912)
アメリカの気象学者、高層気象研究の開拓者。ボストンに生まれる。地元の高等工業学校(MIT)で機械工学を専攻したが、卒業してからは気象学に興味をもった。1885年ボストン近郊のブルーヒルに私設の観測所をつくり、凧(たこ)や自動記録式気象機器によって高層気象の研究を開始した。1894年からは気球による高層観測を始め、汽船オタリヤ号での観測で、大西洋の貿易風の上に反対貿易風が吹いていることを明らかにした。1906年ハーバード大学の気象学教授。アメリカにおける高層気象観測発祥の地、ブルーヒル観測所は、彼の没後ハーバード大学に寄贈された。おもな著書には『気海の探測』(1901)、『大気の征服』(1909)、『航空家用高層気象図』(1911)などがある。
[根本順吉]