ロバートムガベ(英語表記)Robert Mugabe

現代外国人名録2016 「ロバートムガベ」の解説

ロバート ムガベ
Robert Mugabe

職業・肩書
政治家 ジンバブエ大統領,ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)議長

国籍
ジンバブエ

生年月日
1924年2月21日

出生地
英領ローデシア・クタマ(ジンバブエ)

本名
ムガベ,ロバート・ガブリエル〈Mugabe,Robert Gabriel〉

学歴
フォートヘア大学(南アフリカ)〔1951年〕卒,ロンドン大学

経歴
多数派部族ショナ族出身。大学卒業後、小・中学校教師を経て、1961年ジンバブエ・アフリカ人民同盟(ZAPU)副書記長。’62年9〜12月、’63年3〜4月投獄、同年4月タンザニアに亡命し、7月にZAPUから分派したジンバブエ・アフリカ民族同盟(ZANU)結成に参加、8月書記長となる。’64年南ローデシア(現・ジンバブエ)に戻ったが、白人政府に逮捕され’74年まで拘禁。’76年からZANU議長となり、モザンビーク本拠ゲリラ戦を展開。またヌコモZAPU議長と愛国戦線を結成し共同議長。’80年4月の独立でジンバブエ首相兼国防相。’87年12月新設の大統領に就任。’88年ZANUはZAPUを吸収合併し、ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)と改称、議長となる。2001年9月1年半続いた黒人による白人農場占拠を停止し、合法的な土地改革を進めると表明。2002年3月大統領4選。2008年6月大統領選の決選投票で5期目の当選。しかし、アフリカ連合選挙監視団は、決選投票の正当性を否定し、選挙の再実施を要求した。2009年ムガベ大統領、ツァンギライ首相による連立政権が成立した。2013年8月大統領6期目。南アアパルトヘイトを最も声高に非難した南部アフリカの指導者。1989年10月来日。

出典 日外アソシエーツ「現代外国人名録2016」現代外国人名録2016について 情報

知恵蔵 「ロバートムガベ」の解説

ロバート・ムガベ

アフリカ南部の国、ジンバブエの元大統領。英領・旧南ローデシア時代の1924年生まれ。働きながらロンドン大学(通信)で学位を取得した後、反植民地闘争の指導者として活躍。80年の独立時には首相に就任し、87年には初代大統領に就任した。その後、長期政権を維持したが、2017年11月、93歳で辞任に追い込まれた。
独立後しばらくの1980年代は、英領時代の高度な農業生産力やインフラを受け継いで、着実な経済成長と安定した政治運営を実現し、国民から高い支持を受けていた。また、南アフリカ共和国の民主化や周辺地域の紛争解決に貢献し、国際社会からも高い評価を得ていた。しかし再選を重ねるにつれ、強権的な手法が目立つようになり、90年代後半からは徐々に独裁体制を固めていった。経済政策も転換し、白人支配からの脱却という名目の下、白人農園主から黒人への農地再分配政策を推進した。2000年以降は、白人農地の強制収容を断行したことから、農業生産は著しく低下し、さらに旧宗主国イギリスも支援を打ち切ったため、経済は壊滅的な状況に陥った。08年には、天文学的なハイパーインフレが起こり、失業者が急増。衛生状態も悪化し、コレラやエイズが拡大したため、300万人以上もの国民が周辺諸国へ脱出した。しかし、同年に行われた大統領選挙では、不正選挙という批判を浴びながらも5選を果たし、直後に開催されたAU(アフリカ連合)の会議の席でも、他国首脳から圧政を批判する声は上がらなかった。
その後も独裁的な最高権力者として君臨したが、18年に予定されていた大統領選挙を控え、41歳年下のグレース夫人への権力委譲を画策。17年11月6日に植民地闘争時からの盟友である副大統領ムナンガグワを解任した。これに軍部が反発し、政府施設や国営放送局を占拠すると共にムガベを自宅軟禁し、辞任へと追いつめた。同月24日、ムナンガグワが新大統領に就任し、37年間に及んだ長期独裁政権は終幕した。

(大迫秀樹 フリー編集者/2018年)

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知恵蔵mini 「ロバートムガベ」の解説

ロバート・ムガベ

ジンバブエの政治家。1924年2月、イギリス領南ローデシアのクタマ生まれ。多数派民族ショナ出身で、教員を経て黒人解放運動に参加。70年代にゲリラを率いて内戦を戦い、白人政権を武力で倒した。80年のジンバブエ独立後の選挙で勝利して首相になり、87年に大統領に就任。好調な経済を実現した。独裁的な政権運営が目立ち、2017年11月、次期大統領とみられていたエマーソン・ムナンガグワ副大統領を更迭してグレース夫人に大統領の座を移譲しようとしたことから、軍の反乱が発生。11月19日に大統領職の辞任を表明した。

(2017-11-24)

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