連立政権(読み)レンリツセイケン

デジタル大辞泉 「連立政権」の意味・読み・例文・類語

れんりつ‐せいけん【連立政権】

連立内閣

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共同通信ニュース用語解説 「連立政権」の解説

連立政権

複数の政党が協力して運営する政権。衆院で過半数を制する党がない場合や、参院を含め、より安定的な国会運営を目指す場合に連立政権が組まれる。1993年に自民党などを除く8党派による細川連立政権が発足。連立の時代が始まった。98年発足の小渕内閣の当初は自民党単独政権だったが、参院で過半数を確保するため、99年1月に自由党、10月に公明党と連立した。2009年の民主党政権も、社民、国民新党との3党連立で発足した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「連立政権」の意味・わかりやすい解説

連立政権
れんりつせいけん
coalition government

議院内閣制のもと、複数の政党が閣僚を出して構成される政権。一つの政党だけで内閣を組織する単独政権と対比される。連立政権が樹立される際には、各政党がもつ議席数に加え、それらの間の政策距離が重要な意味をもち、政策協定などが結ばれることが多い。なお、複数の政党が首相指名や予算など議会での議決に限って協力する閣外協力の場合は、連合政権ではあっても連立政権ではないとされる。

 連立政権は通常、一つの政党だけで議会(とくに下院)の過半数の議席を確保できない場合につくられる。したがって、多党制になりやすい比例代表制を採用している国では、連立政権が通例となる。複数の政党で選挙ブロックを形成している場合には、その一つの政党が議会の過半数の議席を占めても、連立政権が成立することが少なくない。また、二院制を採用している国では、上院での多数派形成の必要から連立政権がつくられることもある。

 複数の政党によって構成される連立政権は、多様な民意を反映しやすい点で単独政権よりも優れているとされる。その一方で、政党間の連立協議を経て成立するために有権者が政権の枠組みを選挙で直接選択できない、与党間の調整が難航して政策決定に時間がかかり、政権が不安定化しやすい、といった欠点が指摘される。しかし、選挙ブロックを基盤とする連立政権の場合には、そうした欠点を比較的免れている。

 ヨーロッパでは連立政権の国が多数であるが、その代表例はドイツである。第二次世界大戦後の西ドイツや1990年の東西統一後のドイツでは、キリスト教民主・社会同盟もしくは社会民主党を中心とする連立政権が続いてきた。これら二大政党による大連立が成立することもある。

 日本でも終戦直後は連立政権が少なくなかった。第一次吉田茂内閣が自由党と進歩党片山哲(かたやまてつ)内閣と芦田均(あしだひとし)内閣が日本社会党・民主党・国民協同党、第三次吉田内閣が民主自由党と民主党(連立派)の連立政権であった。ところが、1955年(昭和30)に自由民主党(自民党)が結成されると、同党による単独政権が長期にわたって続いた。そのなかで唯一の例外は、自民党と新自由クラブが連立した第二次中曽根康弘(なかそねやすひろ)内閣である。

 1993年(平成5)、非自民・非共産の八党派連立政権として細川護熙(ほそかわもりひろ)内閣が成立して以降、基本的に連立政権が続いている。非自民連立政権から自民・社会(日本社会党)・新党さきがけの三党連立政権を経て、1996年に自民党単独政権が成立した。しかし、参議院で過半数の議席を確保できなかったため長くは続かず、自民・自由党、自民・自由・公明党、自民・公明・保守(保守新党)、自民・公明と、自民党を中心とする連立政権が相次いでつくられた。

 2009年(平成21)には民主党・社会民主党・国民新党の三党連立政権として鳩山由紀夫(はとやまゆきお)内閣が成立したが、翌2010年、社民党の連立離脱を招き、2012年には自公政権が復活した。日本では1994年に衆議院の選挙制度改革が行われ、中選挙区制にかわって小選挙区比例代表並立制が導入された。そのもとで強固な選挙ブロックを形成していることが、自民・公明両党の連立政権が安定している最大の原因である。

[中北浩爾 2021年7月16日]

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百科事典マイペディア 「連立政権」の意味・わかりやすい解説

連立政権【れんりつせいけん】

単独で議会(とくに第一院)の過半数を制する政党がない場合などに,複数の政党が閣僚(国務大臣)を送り込んで政権を構成することをいう。また,閣僚を送り込んでいる政党はひとつであるが,政策協定により他の政党と閣外協力をして政権を維持する場合を少数単独政権という。このように閣僚を送り込むか,送り込まないかは別にして,複数の政党がなんらかの形で政権を担っているものを連合政権という。連立政権は連合政権のひとつの形である。唯一の政党が政権を担う場合を単独政権という。日本では1947年の片山哲内閣,1948年の芦田均内閣がともに日本社会党,日本民主党,国民協同党の保革3党連立政権。第1次と第3次の吉田茂内閣,第2次中曾根康弘内閣は保守連立であった。また,1993年8月には細川護煕(もりひろ)内閣が自由民主党,日本共産党を除く7政党(8会派)で発足し,以後羽田孜(つとむ)内閣村山富市内閣,第1次橋本龍太郎内閣といずれも連立政権が続いた。しかし1996年11月に発足した第2次橋本内閣は戦後初の少数単独政権となった。
→関連項目挙国一致内閣

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改訂新版 世界大百科事典 「連立政権」の意味・わかりやすい解説

連立政権 (れんりつせいけん)

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世界大百科事典(旧版)内の連立政権の言及

【連合政権】より

…議院内閣制の下で,単一の政党が政権を担う〈単独政権〉に対比して,複数の政党が協力して担当する政権をいう。複数の政党によって内閣が組織される〈連立政権coalition government〉とほぼ同義であるが,連合政権のほうがやや広義で,政策協定を基礎に閣外協力関係にある政党の支持によって維持される少数派政権が含まれる場合もある。連合形成政党の組合せによって,〈大連合(大連立)〉と〈小連合(小連立)〉に区別され,主要政党間の連合を〈大連合〉,一主要政党と小政党の間の連合を〈小連合〉という。…

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