ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワラキア人」の意味・わかりやすい解説 ワラキア人ワラキアじんWalachians; Vlachs ブラフ人とも呼ばれる。ルーマニア,ベッサラビアを中心に,バルカン半島一帯に居住するラテン系住民。ワラキアの語源であるボロフ Volokhは,ダキア地方に入植した古代ローマ人を祖先にもつと信じ,ラテン的伝統を主張し,ラテン系言語を用いる住民に対して近隣のスラブ人が与えた呼称である。その存在については9世紀頃からビザンチンなどの文献に現れ,羊を主とした遊牧生活を営んでいたと記されている。 14世紀トランシルバニア地方に居住していたワラキア人は現在のルーマニア南部地域に移住しワラキア公国を,北部地域に移住しモルドバ公国を形成。その後長期にわたるオスマン帝国の支配を経て,ルーマニア人の中核となった。一方バルカン一帯のワラキア人は中世~近代を通じてセルビア,ブルガリア,オスマン帝国,ギリシア,アルバニアなどの異民族支配に服して各地に散在,遊牧,交易などに従事した。しかし 19世紀頃までに彼らの多くは,その地の住民と混血するなどして少数民族となった。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by