日本大百科全書(ニッポニカ)「アネルギー」の解説
アネルギー
あねるぎー
anergy
元来はアレルギーまたは過敏性と対比することばとして用いられたが、現在は細胞性免疫(遅延型アレルギー)の反応性の低下または無反応状態をさしてアネルギーの語が用いられる。ツベルクリン反応陽性であったものが麻疹(ましん)(はしか)にかかると反応が減弱または陰性化するのはその一例である。このような細胞性免疫反応の低下は、麻疹のほかサルコイドーシス、ホジキン病、末期癌(がん)、重症結核などでみられる。ヒトは感染したことのある、ある種の病原体の抗原に対しては細胞性免疫を獲得しているので、ツベルクリンのほか連鎖球菌抗原、耳下腺(せん)ウイルス、トリコフィチン(白癬(はくせん)菌ワクチン)などの皮内反応でテストすることもできる。細胞性免疫感作性のあるDNCB(dinitro chlorobenzene)などの化学物質も利用できる。
[高橋昭三]