悪性リンパ腫の一型。1832年,イギリスの医師ホジキンThomas Hodgkin(1798-1866)が最初に記載したためこの名があるが,それは今日ホジキン病として認められているものとは多少内容を異にする。現在では,病理組織学的にリード=スターンバーグ細胞という分葉核を有する巨大細胞の増殖を特徴とするものをいう。病因としてウイルス感染や免疫異常が考えられているが,確定していない。日本での頻度は欧米に比べて低く,全悪性リンパ腫の15%前後にあたる。青壮年者,とくに男子に多い。主要な臨床所見は,全身リンパ節の無痛性進行性腫大である。しかし腫大が高度になると圧迫症状を呈するようになる。また,他の臓器,とくに肝臓,脾臓や骨髄への浸潤もよくみられる。全身症状として,間欠性発熱(ペル=エプステイン型発熱という),貧血,皮膚搔痒(そうよう),体重減少,倦怠感などが,病初期でもみられることがある。診断は,リンパ節や浸潤臓器の生検による病理組織学的所見により確定される。病巣の広がりの程度により病期ⅠからⅣに分類され,それに基づいて治療方針が決定される。治療は,Ⅰ,Ⅱ期では放射線照射,Ⅲ,Ⅳ期では化学療法が行われることが多い。これら治療方法の進歩によってホジキン病の予後は著しくよくなっており,他の悪性リンパ腫に比べ長期生存率も高い。
→悪性リンパ腫
執筆者:浅野 茂隆+白藤 尚毅
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1832年イギリスの内科医ホジキンThomas Hodgkin(1798―1866)が最初に報告した悪性リンパ腫(しゅ)の一病型で、腫脹(しゅちょう)したリンパ節の中に、リード‐シュテルンベルグ巨細胞が出現するのが特徴である。さらに線維(肉芽組織)が出現し、ホジキン細胞、リンパ球、炎症性細胞、好酸球が加わって複雑な細胞構成を示す。わが国には少なくて欧米に多く、幼小児には少ない。原因は不明で、ウイルスが注目されている。腫瘍(しゅよう)と炎症が加わったような所見で、臨床的にも、発熱(ペル‐エプスタインの熱型)とともに赤沈が促進し、白血球の増加がおこるが、リンパ球は早くから減少して免疫力が低下し、感染症にかかりやすく、また自己抗体がつくられやすい。Ⅰ期からⅣ期に分けられ、組織所見からも分類される。治療としては放射線療法および化学療法のほか、免疫療法も行われる。
[伊藤健次郎]
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