アブラクサス(その他表記)Abraxas[ギリシア]

改訂新版 世界大百科事典 「アブラクサス」の意味・わかりやすい解説

アブラクサス
Abraxas[ギリシア]

ヘレニズム時代に,アレクサンドリアを中心にして,一部の人たちが最高神を呼ぶときに使った名称。しばしば鶏の頭をもち,右手に盾,左手にむちをかざし,両足が蛇で,4頭立ての馬車に乗った姿であらわされている。鶏は予見と用心深さを意味する鳥であり,盾は知恵,むちは力を意味し,2匹の蛇であるヌースとロゴス,すなわち霊性と理解とに支えられ,宇宙の四つの方向をめぐって支配する神とされる。ABRAXASの7文字は,七つの光,または数理的に365を意味し,紀元2世紀のアレクサンドリアに在住したグノーシス派のバシレイデスBasileidēsによれば,この宇宙は365の層をなす天によって構成され,その最下層の神がアブラクサスであって,地球や人類を創りだし,七つの属性によってこの世を支配している。しかし,アブラクサスは不完全なこの世の支配者であると同時に,365の天のさらに上にある完全な世界への媒介者でもあるという。
→グノーシス主義
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