アミール・アルムーミニーン(その他表記)amīr al-mu'minīn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

アミール・アルムーミニーン
amīr al-mu'minīn

イスラム教徒指揮者」を意味するアラビア語。第2代カリフウマル1世が初めて称号として用い,以後ウマイヤ朝アッバース朝ファーティマ朝コルドバ後ウマイヤ朝の歴代カリフが称号として用いている。歴史文献のなかでは,カリフという称号よりもこのアミール・アルムーミニーンの称号がより多く使用されている。アッバース朝滅亡後は地方政権の君侯もときにこれを称号とした。

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世界大百科事典(旧版)内のアミール・アルムーミニーンの言及

【アミール】より

…ウマル1世(第2代正統カリフ。在位634‐644)以降のカリフがアミール・アルムーミニーン(信徒たちのアミール)と呼ばれたのもその一例である。しかし,一般には正統カリフ時代から,軍隊の長,遠征軍の長の意味で使われた。…

【イスラム】より

…イスラム時代の初期,イスラム教徒を意味する用語として普通に用いられていたのは,ムスリムではなくムーミンであった。このことはウマル1世の用いたカリフの称号がムスリムたちのアミール(アミール・アルムスリミーン)でなく,ムーミンたちのアミール(アミール・アルムーミニーン)であったことによく示されている。コーラン49章14節に,〈遊牧民たちは“我々は信じるāmannā”と言っている。…

【ウマル[1世]】より

…638年シリアのジャービヤに向かい,直接征服軍に指示を与え,次いでエルサレムの征服を確認した。イスラム紀元(ヒジュラ暦)の制定,ディーワーンの創設,カリフの称号としてアミール・アルムーミニーン(信者の長)の採用などを行った。アラビア半島からユダヤ教徒を追放したのも彼であったが,私怨によりペルシア人奴隷に暗殺された。…

【カリフ】より

…その時〈神の使徒(すなわちムハンマド)の代理〉という意味でハリーファ・ラスール・アッラーkhalīfa rasūl Allāhと称したのがカリフの呼称の最初である。第2代のウマル1世は,このアブー・バクルの代理ということで,最初〈神の使徒の代理の代理khalīfa khalīfa rasūl Allāh〉と称したが,称号が長くなって不便なので,途中から〈信者の長〉の意味のアミール・アルムーミニーンAmīr al‐Mu’minīnを用いた。その結果,以後のカリフはほとんどすべてこれを称号としており,史料に出るのもこれで,ハリーファではない。…

※「アミール・アルムーミニーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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