日本大百科全書(ニッポニカ) 「アメリカシロヅル」の意味・わかりやすい解説
アメリカシロヅル
あめりかしろづる
whooping crane
[学] Grus americana
鳥綱ツル目ツル科の鳥。ツル類中もっとも優美な種の一つといわれる。また、野生の個体数が一時は13羽を数えられるだけとなり、アメリカ合衆国、カナダ両国政府の懸命な保護増殖活動によってとりあえず絶滅の危機から救われたことで有名になった。全身ほとんど白色で、顔、頭上、眼先(めさき)、口角部は皮膚が裸出して赤く、初列風切(かざきり)と初列雨覆(あまおおい)は黒い。全長約1.25メートル。カナダ、合衆国中部で繁殖し、合衆国南部、メキシコで越冬する。しかし、現在ではカナダ北部のウッド・バッファロー国立公園が唯一の残された自然繁殖地となっている。生息個体数は、1980年には118羽(野生個体98羽、飼育個体20羽)であったが、2005年には470羽(野生個体336羽、飼育個体134羽)となった。国際保護鳥の一つ。
[森岡弘之]