日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルデンヌ高原」の意味・わかりやすい解説
アルデンヌ高原
あるでんぬこうげん
Massif Ardennais
フランス北東部からベルギー南部を経てルクセンブルク北部に至る高原。東部に位置する最高点のボトランジュで694メートル。ヘルシニア山系に属し、主として古期岩層からなる。大半が標高500メートル以上で、1月の平均気温約0℃、7月で約15℃。年降水量1000~1500ミリメートル。とくに冬期は厳しい気候となる。ほとんどがモミ、ブナなどの森林だが、高原の南部や林間耕地では混合農業(肉牛)や酪農も行われる。
人口密度は中心の小さな町を除き1平方キロメートル当り50人以下で、木材伐採、石英の採掘、皮革業以外には産業は未発達。しかし古い農家を「週末の家」に改装したり、キャンプ場が整備されたりして、保養地、観光地として注目されてきた。第一次、第二次世界大戦でドイツ軍と連合軍の激戦地となり、壊滅状態になった町村もあって、両軍兵士の広大な墓地が林間に散在する。
[川上多美子]