アンチオペ(英語表記)Antiope

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アンチオペ」の意味・わかりやすい解説

アンチオペ
Antiope

ギリシア神話の英雄アンフィオンとゼトスの母。ニュクテウスの娘で,絶世の美女であったためゼウスに愛され,未婚の身で妊娠したので,父の怒りを恐れてシキュオンに逃げ,エポペウス王の妃となった。しかしニュクテウスは,弟のリュコスに娘を罰することを頼んで自殺したので,リュコスはシキュオンを攻め滅ぼしてエポペウスを殺し,アンチオペをテーベに連れ帰って牢に入れ,妻のディルケと一緒に彼女を虐待した。彼女が連れ戻される途中生れ,キタイロンの山中に捨てられた双子の息子たちは,牛飼いに拾われて無事に成人し,自分たちの素性を知って,リュコスとディルケを殺し,アンチオペを救った。しかし彼女の苦しみはこれによって終らず,ディオニュソスにより狂気にされたアンチオペは,ギリシア中を放浪し,最後にフォキスの王フォコスによって狂気を癒やされ,その妻になったという。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android