日本大百科全書(ニッポニカ) 「イラワディ川」の意味・わかりやすい解説
イラワディ川
いらわでぃがわ
Irrawaddy Myit
ミャンマー(ビルマ)中部を南流する大河。エーヤワディー川ともいう。中国チベット自治区南東部に発するマイ川と、ミャンマー最北部に発するマリ川がミッチーナ北方で合流してイラワディ川となり、流下しマンダレー平野に出る。ついでアラカン山脈とペグー山脈の間を南下し、河口で大デルタを形成してアンダマン海に注ぐ。マンダレー西方で最大の支流チンドウィン川を合流する。全長2090キロメートル、流域面積37万4000平方キロメートル。
マンダレーより上流は山岳地帯で侵食が盛んである。マンダレー平野は古くから水田が開かれ、南西のパガンは11~13世紀にパガン王朝の首都であった。マンダレー―プロム間の中流部は乾燥地帯で、蒸発によってかなりの流量が失われる。下流部のイラワディ・デルタは降水量が多く、世界的な水稲単作地帯である。また、ヤンゴン(ラングーン)よりバーモに至る1350キロメートルは、米、日用品、旅客などを運ぶための交通路として盛んに利用されている。
[大矢雅彦]