改訂新版 世界大百科事典 「アラカン山脈」の意味・わかりやすい解説
アラカン[山脈]
Arakan Yoma
ミャンマーとインドとの境界を南北に連なる山脈。ミャンマー最北端にあるヒマラヤ山脈の東端から南走,モーティン岬で海中に没し,アンダマン,ニコバル諸島を経て,インドネシアのスマトラ,ジャワ,バリ,ロンボク島へとつながるビルマ・ジャワ弧の一部である。南北の距離は1100kmもあるが,東西の幅は最も広い所で240kmしかない。山脈の北部はナガ丘陵,中部はチン丘陵と別称される。行政的には北部がサガイン管区,中部はチン州,南部はアラカン州にそれぞれ所属する。最高峰はナガ丘陵にあるサラメティ山(3826m)。全域が適度の雨量に恵まれるが,降雨量の多い南部はうっそうたる森林になっている。住民は北部にナガ族,中部・南部にチン族が住み,おもに山腹の森林を焼き払って,モロコシ,キビ,アワなどを栽培している。第2次大戦中,この山脈を横断して展開された,日本軍のインパール作戦は有名。
執筆者:大野 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報