炭素-炭素二重結合(ene)に第三アミノ基(amine)が直接結合した部分構造(エナミン構造という)をもつ有機化合物の総称。この構造がエノールの水酸基をアミノ基で置換した構造に相当するという意味で,1927年ドイツのウィティヒG.Wittigにより使われたのが最初である。エナミンは,アルデヒドまたはケトンにp-トルエンスルホン酸などの触媒や適当な脱水剤の存在下で第二アミンを作用させれば容易に合成できる。ほとんどの場合,淡黄色の液体であるが,吸湿性で酸化されやすいため空気中に放置するとゆっくりと重合し,褐色に変色する。エナミンの化学はおもにアメリカのストークG.Storkにより,54年以来発展した。窒素の不対電子と二重結合との共鳴相互作用のためβ炭素の電子密度が高くなっている。
そのため,求電子試薬に対する二重結合のβ炭素の反応性が非常に高く,ハロゲン化アルキル,酸塩化物,アルデヒド,ケトンなど,種々の求電子試薬とβ位で反応して高収率で生成物を与え,天然物の全合成などで炭素-炭素結合生成のための重要な方法として使われている。
執筆者:友田 修司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
エノールの窒素類似体で,二重結合の炭素原子にアミノ基が結合した構造の総称.アルデヒドまたはケトンと第二級アミンとの縮合反応によって生成する.エノラートイオン等価体として,合成化学的に重要である.たとえば,ハロゲン化アリルやハロゲン化ベンジルなどの活性なアルキル化剤を作用させたのち,加水分解すると,カルボニル基のα位がアルキル化できる.
同様に,ハロゲン化アシルを作用させればアシル化が進行する.α,β-不飽和カルボニル化合物との反応からは,共役付加生成物が得られる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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