エナンチオ異性(読み)エナンチオいせい(その他表記)enantiomerism

改訂新版 世界大百科事典 「エナンチオ異性」の意味・わかりやすい解説

エナンチオ異性 (エナンチオいせい)
enantiomerism

立体異性体が互いに重なり合わない鏡像の関係(図1)にあるとき,両者はエナンチオ関係にあり,エナンチオ異性体であるという。ある分子に(分子に限らずすべての物体に関しても)エナンチオ異性体が存在するための必要十分条件はキラリティ(鏡像関係が成り立つこと)である。エナンチオ関係にない立体異性体を互いにジアステレオ異性体であるという。この分類によると,立体異性はエナンチオ異性とジアステレオ異性に大別される。酒石酸の3種の立体異性体(図2)において,(+)体と(-)体はエナンチオ異性体であるが,(+)体とメソ体,(-)体とメソ体は互いに鏡像の関係にはないのでジアステレオ異性体である。
執筆者:


出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 敬人 竹内

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android