改訂新版 世界大百科事典 「エルベルフェルト」の意味・わかりやすい解説
エルベルフェルト
Pieter Erberfelt
生没年:1671-1722
1721年に噂されたバタビア(現,ジャカルタ)のオランダ東インド会社に対する陰謀の容疑で処刑された欧亜混血児。ドイツ人を父とし,タイ人を母として生まれ,皮なめし商の父から大きな財産を受け継いだが,東インド会社総督ズワールデクローンが彼の所有地を欲しがったのに売らなかったため,総督の恨みを買うことになった。1721年末以後,バタビア市内に不穏な動きがあるのを知った総督府は日ごろから会社の悪口を触れ回っていたエルベルフェルトを首謀者と断定し,ジャワの貴族カルタ・ドゥリア,スンバワ島出身のライェクと共に逮捕し,拷問の結果ついに3人はその陰謀の事実を肯定したので,22年4月に処刑した。エルベルフェルトの居宅は破壊され,彼の頭蓋骨は槍の穂先に貫かれた形で記念碑となっている。陰謀は事実無根であったとするのが現在のほぼ定説である。
執筆者:永積 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報