オーストリア一般民法典(読み)オーストリアいっぱんみんぽうてん(その他表記)Allgemeines Bürgerliches Gesetzbuch Österreich

改訂新版 世界大百科事典 「オーストリア一般民法典」の意味・わかりやすい解説

オーストリア一般民法典 (オーストリアいっぱんみんぽうてん)
Allgemeines Bürgerliches Gesetzbuch Österreich

オーストリアの現行民法典呼称。法典の編纂は,1753年皇帝マリア・テレジアによって始められ,1811年フランツ2世の治下に完成し,翌年より施行された。編纂事業の後半期に参画したマルティニやツァイラーFranz Anton Zeiller(1751-1828)を通じて,啓蒙期自然法思想の影響がみられる。ツァイラーが中心になって完成した法典には,彼を通じてカント倫理が刻印されている。この民法典は,簡潔にして明確で,抽象的な法原理を含み,私法の体系としては,高度の学問的達成の域に到達している。20世紀初頭より,ドイツ・パンデクテン法学の洗礼を受けたウンガークラインによって,法典の改訂が行われ,1914年より16年にかけて三つの一部改正法が制定された。その後も,婚姻法,後見法,雇用法,賃貸借法,損害賠償法など特別法によって修正を被った領域も多いが,今日でもその骨格は制定当時から変わっていない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のオーストリア一般民法典の言及

【法典編纂】より

…また法典はラテン語でなく自国語で書かれ,一般に理解しやすいものにしようとされた。当時の代表的な法典は,プロイセン一般ラント法(1794),フランス民法典(ナポレオン法典,1804)およびオーストリア一般民法典Allgemeines bürgerliches Gesetzbuch für Österreich(1811)である。プロイセンの法典は公私法にまたがる包括的大法典で,わかりやすくするため個別的で詳細な規定のしかたをしている。…

※「オーストリア一般民法典」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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