カインコンプレクス(その他表記)Cain complex

改訂新版 世界大百科事典 「カインコンプレクス」の意味・わかりやすい解説

カイン・コンプレクス
Cain complex

同胞(兄弟)間の葛藤(かつとう)を表す精神分析学用語。旧約聖書にあるアダムイブ子どもであるカインが,神に寵愛(ちようあい)された弟アベルを殺したという物語にもとづく。両親偏愛,弟への羨望とねたみといった一連感情をさす。通常は,これらの感情が意識されて苦痛に感じないよう,無意識の世界に押しこめられているが,折々の言動の中に無意識的に現れていることがある。
エディプス・コンプレクス
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカインコンプレクスの言及

【嫉妬】より

…人間にとって最も基本的な感情の一つで,2,3歳の幼児でも弟や妹が生まれて母親からかまってもらえなくなると,母の愛情を奪われたと感じて弟や妹を嫉妬し,敵意を向ける。これをカイン・コンプレクスといい,アベルをねたんで殺した旧約聖書のカインの故事に由来するが,さしずめカインは人類最初の嫉妬者だったことになる。さきの定義から,所有欲が強い人は一般に嫉妬心も強いが,それが正常範囲を越えると〈嫉妬妄想delusion of jealousy〉になる。…

※「カインコンプレクス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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