カスピ海沿岸低地(読み)カスピかいえんがんていち(英語表記)Prikaspiiskaya nizmennost'

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カスピ海沿岸低地」の意味・わかりやすい解説

カスピ海沿岸低地
カスピかいえんがんていち
Prikaspiiskaya nizmennost'

ロシア南西部,カザフスタン西部,カスピ海北岸一帯に広がる低地。面積約 20万 km2。ところどころに台地もあるが大部分はきわめてなだらかにカスピ海に向って傾斜する低平な土地で,湖岸線から 100~200km以内の地帯は海面下となり,北東岸にある最も低いところは標高-28m。第四紀を通じて何度か湖底になったこともあり,砂や粘土堆積物もみられる。1月の平均気温は北部で-14℃,南部で-8℃,7月はそれぞれ 22℃,24℃。年降水量は 150~350mmで,東部はことに乾燥し,5~6月にしばしばスホベイ sukhoveiという熱風が吹く。ウラル川,ボルガ川,テレク川などがこの低地を流れてカスピ海に注ぐが,この低地に流れ込む小さな川は夏に下流部が涸れて末無川となる。塩湖が多く,岸はアシの原になる。一般に生産力の低い放牧地であるが,水の得られるボルガ川下流域などでは果樹,野菜などの栽培が行われる。東部のエンバ川流域では石油も産し,ロシアのバスクンチャク,エリトンなどの塩湖では食塩採取が行われている。

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