ロシア連邦とカザフスタン共和国を流れる川。ロシアのウラル山脈南東部ウラルタウ山脈に発して南流し、オルスク付近で西流してカザフスタンに入り、オラル(旧ウラリスク)より南流してアティラウ(旧グリエフ)付近でカスピ海に注ぐ。長さ2428キロメートル、流域面積23万7000平方キロメートル。11月から3、4月まで結氷し、また春の融氷期に年間総流量(12.5万立方キロメートル)の80%が流れるため、しばしば氾濫(はんらん)する。上流部のロシアのマグニトゴルスクなどにダムがあり、カザフスタン領の下流部は広い河成平野をつくっている。アティラウ―オラル間が航行可能。流域は乾燥地域で、中流部では河水が灌漑(かんがい)農業に使われる。
[熊木洋太]
ロシア連邦西部の川。18世紀後半までは史書にヤイク川の名で記された。長さ2428km,流域面積23万1000km2。南ウラルのウラルタウ山脈の標高約800mの斜面に源をもち,マグニトゴルスク(市の上流2ヵ所にダムと貯水池がある),オルスク,オレンブルグを過ぎて乾燥したプリカスピ低地に出,アトゥラウ(旧グリエフ)付近で大きな三角州をつくってカスピ海北東岸に流入する。3月下旬(上流は4月中旬)から6月上旬が高水季で,下流では水位が10mも高くなる。あとは低水季で,定期船はアトゥラウからウラリスクまで約500kmを遡航する。上流で飲用および工業用水,下流では飲用のほかひろく灌漑用水に利用される。オレンブルグ付近より河口までは,歴史的にウラル山脈とともに〈欧亜の境界〉の一部分とされたこともある。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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