改訂新版 世界大百科事典 「カッフェ」の意味・わかりやすい解説
カッフェ
Il Caffè
1953年ビカーリGiambattista Vicariによりローマで発刊された文芸雑誌。風刺的でグロテスクな幻想的傾向の作品の紹介を,編集方針に掲げてきた。同誌の協力者は,編集委員でもあったカルビーノ,マンガネリ,マレルバ,サングイネーティ,外国の作家ではボルヘス,クノー,マンディアルグなど多彩である。同誌が大きな影響力をもったのは60年代で,ブッツァーティ,パラッツェスキといった既成の作家にまじって,新たに台頭してきた新前衛派のサングイネーティ,マレルバらが積極的に作品を発表し,同誌に活気を与えた。またデルフィーニの詩や小説の発掘,カルビーノの《コスミコミケ》の一挙掲載,パベーゼ,ドッシ,ルチーニらの未発表作品の掲載は,同誌の時代を先取りする活動として高く評価されている。70年代はチェラーティ,チェロネッティら新世代の作家の参加を得て,さらに活動が続けられたが,80年のビカーリの死に財政難が重なり,81年以降刊行がとだえている。
執筆者:竹山 博英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報