カヨール王国(読み)カヨールおうこく(英語表記)Cayor

旺文社世界史事典 三訂版 「カヨール王国」の解説

カヨール王国
カヨールおうこく
Cayor

西アフリカの西端セネガルの地に16世紀半ば以降に存在した小王国
かつてのガーナ王国に多く住んでいたウォロフ族は,ベルベル人のムラービト朝によってイスラームがもたらされると,これを嫌って現在のセネガルの地域に南下した。伝承によると14世紀ころから存在した,ウォロフ族の王国(ジョロフ王国)が16世紀半ばに分裂して生まれた小王国の1つがカヨール王国である。それ以降,王国間で覇権争いが繰り返されたが,フランス人入植者がセネガルに来たのちも,18〜19世紀ころまで王国としての機能を果たしていた。19世紀半ばから即位した最後のラト=ディオール王は,1864年フランスによって追放されたのち,20年以上にわたって激しい抵抗妥協を繰り返した。特に1881年,フランスがダカール〜サンルイ間に落花生輸出のための鉄道建設を開始すると,猛然と反対。1885年王の称号を廃止されると最後の戦いを挑み,86年奇襲戦の最中に戦死し,王国はフランスによって植民地化された。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカヨール王国の言及

【ウォロフ王国】より

…それ以降,王国間で覇権争いが繰り返されたが,フランス人植民者がセネガルに来て後,18~19世紀にかけてまで,おのおのは王国としての機能を果たしていた。特にカヨール王国の最後の王ラット・ジョールは19世紀半ばから20年以上にわたって激しい反仏抵抗をしたことで知られている。各王国の王はイスラム教には冷淡だったようで,ウォロフ族の多くが改宗するのは18~19世紀以降のことである。…

※「カヨール王国」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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