ウォロフ族(読み)ウォロフぞく(その他表記)Wolof; Ouolof

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォロフ族」の意味・わかりやすい解説

ウォロフ族
ウォロフぞく
Wolof; Ouolof

西アフリカのセネガル西部からガンビアにかけて居住する民族人口約 350万と推定される。移動耕作を主生業とし,しこくびえ,きび,とうもろこしなどを栽培するが,換金作物として落花生が近年重視されている。海岸地方では漁業を行い,織布,皮革業,籠細工,金工なども盛んである。伝統的に,父系的に継承される固定的な7つの階層から成る階層社会を形成し,最高首長が統治するいくつかの国々に分立した。出自は,伝統的には二重単系制をとるが,18世紀のイスラム化後は父系的傾向が強まった。政治組織は,複合家族から成る村,およびその首長が基礎単位となる。最近では都市に住む者も少くない。言語は,ニジェール=コンゴ語派の大西洋岸諸語に属し,商業上の共通語として,周辺の交易都市でも用いられている。

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世界大百科事典(旧版)内のウォロフ族の言及

【ウォロフ王国】より

…11世紀ころ,ムラービト朝によってイスラム教がもたらされると,それを嫌ってセネガルへと南下したものと思われる。口誦伝承によると,部族としてまとまりをもったウォロフ族の始祖はヌジャージャン・ヌジャイという人物とされ,彼以降,国の統一が進んだ。その時期は12世紀末から14世紀の間と推定される。…

【ガンビア】より

…その結果,今日ガンビア住民の90%はイスラム教徒である。隣国セネガルの主要部族でもあるウォロフ族は19世紀後半より入ってきたが,首都バンジュルの支配的住民として商業を営むかたわら,商品作物のラッカセイ栽培も行う。フルベ(フラニ)族は上流地域で牛を飼育する牧畜民である。…

【セネガル】より

…都市人口は総人口の約42%(1995)を占め,アフリカでも最も都市化の進んだ国の一つであり,首都ダカールをはじめ,ティエス,カオラク,サン・ルイなどの都市が発達している。住民ではウォロフ族が最も多く,総人口の3分の1以上を占める。次いでフルベ(フラニ,プール)族,セレル族,トゥクロール族,ディオラ族,マリンケ族などが有力な部族である。…

【モーリタニア】より

…一方,黒人系の諸部族は,南部のセネガル川流域に居住している。なかでも,セネガル川中流の河谷に住むトゥクロール族がいちばん人口が多く,次いでマリとの国境地域のサラコレ族Sarakole(ソニンケとも),セネガル川下流域のウォロフ族Wolofが続いている。いずれも,ミレット,トウモロコシ,ラッカセイなどを栽培する農耕民で,灌漑により稲作も行っている。…

※「ウォロフ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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