カルタップ

化学辞典 第2版 「カルタップ」の解説

カルタップ
カルタップ
cartap

S,S′-[2-(dimethylamino)-1,3-propanediyl]bis(thiocarbamate).C7H15N3O2S2(237.36).パダンともいう.2-ジメチルアミノ-1,3-ジクロロプロパンとチオシアン酸カリウムとを反応させ,2-ジメチルアミノ-1,3-プロパンジイルビス(チオシアナート)とし,ついで塩酸加水分解すると得られる.カルタップ塩酸塩は無色の結晶.分解点179~181 ℃.水溶解度約200 g L-1(25 ℃).カルタップはイソメ毒(ネライストトキシン)の類縁体として合成されたもので,昆虫のアセチルコリン受容体にアンタゴニストとして作用する.ニカメイチュウなどの鱗翅(りんし)目害虫,イネミズゾウムシなどの甲虫目害虫に卓効を示す.LD50 325 mg/kg(ラット経口).[CAS 15263-53-3]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルタップ」の意味・わかりやすい解説

カルタップ
Cartap

パダンともいう。日本で開発された殺虫剤。ネライストキシン剤。化学名1,3-ビス (カルバモイルチオ) -2- ( NN -ジメチル) アミノプロパン塩酸塩。磯蚯蚓 (いそめ) の毒素ネライストキシンの構造をモデルとして開発されたもので,融点 183~185.5℃ ,水によく溶ける。経口剤で鱗翅類害虫,食葉害虫,吸汁性害虫に有効。安定した効果を示す。稲の二化めい虫の防除に広く用いられる。

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世界大百科事典(旧版)内のカルタップの言及

【殺虫剤】より

…この系列の薬剤には尿素構造を含むものが多い。魚釣りの餌として用いられるイソメはネライストキシンと呼ばれる殺虫成分を含んでおり,この物質の活性発現に必要な構造を含む合成薬剤カルタップ,チオシラム,ベンスルタップが開発され,これらはネライストキシン系殺虫剤と呼ばれる。イネの大型害虫など幅広い殺虫作用を示す。…

※「カルタップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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