日本大百科全書(ニッポニカ) 「チオシアン酸カリウム」の意味・わかりやすい解説
チオシアン酸カリウム
ちおしあんさんかりうむ
potassium thiocyanate
チオシアン酸のカリウム塩。ロダンカリ、ロダン化カリウム、硫シアン化カリウムなどともいう。チオシアン酸アンモニウム水溶液に水酸化カリウムを加えて濃縮すると得られる。シアン化カリウムを硫黄(いおう)と混合して加熱し、水で抽出して結晶させる方法もある。潮解性の無色の結晶。水によく溶ける。アルコール、アセトンなどにも溶ける。弱酸性溶液中で鉄(Ⅲ)イオンと作用して赤色を呈する。この発色には[Fe(SCN)6]3-イオンの生成が関与しているものと考えられる。この反応は鉄(Ⅲ)およびチオシアン酸イオンの検出に利用される。チオ尿素、染料、医薬の製造原料となるほか、写真、織物の染色および捺染(なっせん)などの補助剤に用いられる。水に溶解するとき吸熱するので寒剤にも使用される。血圧降下剤としての用途もある。
[鳥居泰男]