化学辞典 第2版 「カルベニウムイオン」の解説
カルベニウムイオン
カルベニウムイオン
carbenium ion
カルボカチオンと同じ意味で使われることがあるが,通常はそれより狭い概念であり,3配位カルボカチオン(a)または2配位ビニルカチオン(b)(厳密には,寄与の大きな限界構造式においてこのような構造の炭素原子をもつ)をいう.非共有電子対をもつ中心原子に電子不足の一価の基が配位結合することにより生じるイオンをオニウムイオンとよぶが,これと同様に,カルベンの非共有電子対に配位結合をつくったイオンとみなすことができることから名づけられた.エチルカルベニウムイオンと表現すると,CH3CH2+とCH3CH2CH2+のいずれを意味するか明確ではないことからわかるように,この用語を系統名の語幹として用いることは避けるべきである.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報