(読み)クマ

デジタル大辞泉 「熊」の意味・読み・例文・類語

くま【熊】

食肉目クマ科の哺乳類総称。全般に大形で、がっしりした体格をし、足の裏をかかとまで地面につけて歩く。ヨーロッパ・アジア・北アメリカおよび南アメリカ北部に分布し、ホッキョクグママレーグマなど7種があり、多くの亜種が知られる。日本にはヒグマツキノワグマがすむ。 冬》「餌を欲りて大きな―となって立ち/汀女
立ち見席の前に設けられた鉄柵に寄る姿が、おりの中の熊に似ているところから》劇場で立ち見する人。
(動植物名の上に付き、接頭語的に用いて)強い、大きいなどの意を表す。「くまぜみ」「くまばち
[補説]曲名別項。→
[類語]白熊北極熊黒熊月の輪熊ひぐま灰色熊洗い熊

ゆう【熊】[漢字項目]

[音]ユウ(漢) [訓]くま
学習漢字]4年
〈ユウ〉動物の名。クマ。「熊掌熊羆ゆうひ
〈くま(ぐま)〉「熊手穴熊黒熊白熊
難読熊襲くまそ赤熊しゃぐま白熊はぐま熊野権現ゆやごんげん

くま【熊】[曲名]

原題、〈フランスL'Oursハイドンの交響曲第82番ハ長調の通称。1786年作曲。パリ交響曲の一。通称は第4楽章に熊のうなり声を連想させる低音が用いられることに由来する。

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精選版 日本国語大辞典 「熊」の意味・読み・例文・類語

くま【熊】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. クマ科に属する哺乳類の総称。体はよく肥え、がんじょうで、毛はあらく、毛色は褐色、黒色、白色など種類によって異なる。体長は最大種ホッキョクグマで約三メートル。四肢は太くて短く、強大なかぎ爪を備える。尾は短い。臭覚が優れ、雑食性で魚、小獣、木の実、草などを食べる。冬は穴の中で絶食して過ごすことが多い。肉は食用、毛皮敷物胆嚢は「くまのい」といって薬にする。北極地方から熱帯林まで分布し、七種がいる。日本には本州以南に、黒色でのどの下に三日月形の白斑のあるツキノワグマが、北海道には大形のヒグマがすむ。《 季語・冬 》
      1. [初出の実例]「熊野村に到りましし時、大熊(くま)(ほの)かに出で入りて即ち失せき」(出典:古事記(712)中)
    2. 毛深いこと、また、毛深い人をいう。
      1. [初出の実例]「若衆が足から熊になりにけり」(出典:雑俳・寄太鼓(1701))
    3. 劇場で、前に鉄柵(てっさく)のある立見席にいる観客。おりの中の熊と似ていたところからの称。立見。大向う
    4. 髪がのびたのを表現するため、鬘(かつら)月代(さかやき)の部分にはった熊の毛。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 動植物名の上に付けて、形が大きいこと、力が強いことなどをあらわす。「くま蜂」「くま笹」「くま蝉」など。

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普及版 字通 「熊」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] ユウ
[字訓] くま

[説文解字]
[その他]

[字形] 会意
能+火。〔詛楚文〕にその形の字がみえる。〔説文〕十上に「獸なり。豕(し)に似て山居し、は蟄(ちつ)す。能に從ひ、炎(えん)の省聲」という。〔書、洛誥〕「火始めて(えんえん)たり」を〔漢書、梅福伝〕に「庸庸たり」に作り、〔淮南子、墜形訓〕「東北を炎風と曰ふ」を一に「融風」に作るなど、一応は声の関係を考えうるとしても、能の初形はむしろ(えい)に近い。〔左伝、宣八年〕の「(人名)」を〔公羊伝〕〔穀梁伝〕に「頃熊(けいゆう)」に作り、熊・の声もまた近い。〔左伝、昭七年〕に、治水に失敗した鯀(こん)は、羽山で(ころ)され、化して黄熊となって羽淵に入ったとする神話をしるしている。熊を水物とすれば、との関係も考えられるが、これは神話のことであるから、字形の説明には援用しがたい。

[訓義]
1. くま。
2. 熊熊は、あざやかに光るさま。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕熊 久万(くま)〔和名抄〕熊 久万(くま)〔名義抄〕熊 クマ/熊脂 クマノアブラ

[熟語]
熊館・熊丸・熊拠・熊経・熊虎・熊侯・熊掌・熊席・熊胆・熊白・熊・熊羆・熊皮・熊・熊熊
[下接語]
檻熊・黄熊・熊・蟄熊・伏熊・夢熊

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「熊」の解説

オーストリアの作曲家ヨーゼフ・ハイドンの交響曲第82番(1786)。原題《L'Ours》。パリ交響曲の一つ。名称は第4楽章の冒頭の低音が熊の唸り声を連想させることに由来する。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「熊」の解説

熊 (クマ)

動物。クマ科の動物の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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