日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ケアリー(Mathew Carey)
けありー
Mathew Carey
(1760―1839)
アメリカの経済学者。H・C・ケアリーの父。アイルランドに生まれたが、1784年政治的理由からアメリカに亡命、フィラデルフィアに住んだ。ラ・ファイエットの保護によってジャーナリズムに入り、91年に出版業を始めた。1819年にフィラデルフィア国民産業促進協会を設立し、保護主義運動の推進に指導的役割を果たした。また当時、保護関税問題で政府と対立、アメリカに亡命中であったドイツの経済学者F・リストに援助を与えた。ケアリーは「アメリカ体制」促進の闘士として多くの小冊子を書いたが、主著『経済学論集』Essays on Political Economy(1822)において、アメリカ産業資本の発展の見地から、保護関税と、国内の諸階層の利益調和を目ざす国内改良計画とを強く主張した。
[田中敏弘]