日本大百科全書(ニッポニカ) 「コステンキ遺跡」の意味・わかりやすい解説
コステンキ遺跡
こすてんきいせき
Костенки/Kostenki
ロシア連邦、ボロネジの南約30キロメートル、ドン川右岸の段丘に形成された後期旧石器時代の遺跡群。遺存例の少ない住居址(し)や埋葬人骨などが出土したことで世界的に知られている。ことに、第Ⅰ地点の五つの文化層は、東ヨーロッパにおける編年の基礎の一つとなっている。ここからは、1列に九つの炉をもつ27メートル×8メートルの大きな楕円(だえん)形住居址も発掘されている。この住居は、マンモスの牙(きば)や獣の骨、あるいは木の棒で覆われていたと推定される。また、マンモスの牙に、乳房や尻(しり)の部分を誇張して彫った女性像、いわゆるビーナスも数多く出土している。墓址は全体で4基調査されているが、とくに第Ⅳ地点の遺骸(いがい)には赤色顔料が付着し、石器を副葬していた。
[大塚和義]