ボロネジ(読み)ぼろねじ(その他表記)Воронеж/Voronezh

デジタル大辞泉 「ボロネジ」の意味・読み・例文・類語

ボロネジ(Voronezh/Воронеж)

ロシア連邦西部、ドン川支流のボロネジ川に臨む河港都市機械化学工業が発達し、原子力センターがある。第二次大戦の激戦地人口、行政区84万(2008)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボロネジ」の意味・わかりやすい解説

ボロネジ
ぼろねじ
Воронеж/Voronezh

ロシア連邦西部、ボロネジ州州都。中央黒土地帯の経済・交通の中心地。人口90万8000(1999)。1586年ボロネジ川の険しい岸辺につくられた要塞(ようさい)都市から始まり、17~18世紀に、航行可能なボロネジ川、近辺の森林、防備の固い都市という条件から、ロシア海軍の艦艇建造の拠点となった。付近の農業開発が進むと、18~19世紀には穀物取引の中心地となり、鉄道開通後は農産物加工工業も発展した。ロシア革命(1917)前、すでに中央黒土地帯第一の都市となり、1913年この地域で初めて大学(農業大学)が設立された。革命後、中央黒土地帯の経済再建を担い、機械(食品工業機械・設備、建設、農業機械生産)、化学(合成ゴム)などの工業化が進められた。現在、鍛造、プレス機、ラジオ・テレビ製造、化学(タイヤ、プラスチック)の各工業が前記工業諸部門とともに発展している。南郊に原子力発電所がつくられ、天然ガスパイプラインにより工業・民生用燃料の供給を受けている。モスクワとドン川下流を結ぶ河川交通に恵まれ、鉄道、道路が分岐し、空港もある。総合大学をはじめとする8大学、詩人ニキーチン博物館コリツォフ博物館、郷土博物館、各種劇場などが置かれている。ボロネジ川右岸の旧市域には、17~18世紀の建築記念物が保存されている。

[中村泰三]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボロネジ」の意味・わかりやすい解説

ボロネジ
Voronezh

ロシア西部,ボロネジ州の州都。ドン川支流ボロネジ川にのぞむ都市で,同川がドン川に流入する地点から 25km上流の沿岸に位置する。 1177年より記録に現れるが,市の発展は 1586年要塞が築かれてからである。 17世紀末ピョートル1世 (大帝) はここをトルコのアゾフ要塞攻略のための基地とし,艦隊をここで建造してドン川を南下させた。その後ボロネジ周辺の森林ステップ地帯が開墾されて農業が発展すると,農産物の集散・加工地となり,穀物交易で栄えた。ロシア革命後,工業都市として発展。機械工業が盛んで,鍛造・プレス機,鉱業用設備,掘削機,農業機械,ラジオ・テレビ,食品工業用設備などを製造する。化学工業 (合成ゴム,タイヤ,プラスチック) ,食品工業 (製粉,食肉,油脂) も重要である。教育,文化の中心地でもあり,ボロネジ大学 (1918) をはじめとする各種大学・研究所,劇場,市に生れた詩人 I. S.ニキーチン,A. V.コリツォフの博物館などがある。旧市街は右岸にあり,革命後左岸に工業地帯が建設された。市の南郊ノボボロネジに原子力発電所がある。モスクワの南約 450kmにあたる交通の要地で,鉄道,ハイウェーが分岐し,空港もある。人口 88万9989(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「ボロネジ」の意味・わかりやすい解説

ボロネジ
Voronezh

ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシア中央部に位置するの同名州の州都。人口84万9000(2005)。モスクワの南南東587km,ドン川支流ボロネジ河畔にある。1586年南方地域に対する前哨基地として建設され,ピョートル1世の対トルコ戦争期にはこの地で艦隊が建造された。帝政時代には畜産や農業製品の取引で栄え,ソ連邦時代に工業都市として発展した。第2次世界大戦では,1942年7月から半年以上にわたって戦場となり,市街は破壊されつくしたが,戦後復興し,機械,ラジオ,テレビなどの製造,合成ゴム工業が盛んである。
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百科事典マイペディア 「ボロネジ」の意味・わかりやすい解説

ボロネジ

ロシア西部の都市で,同名州の州都。ボロネジ川(ドン川の支流)の河港都市。掘削機,プレス機械,合成ゴムなどの工業が行われる。1586年創設。大学(1918年創立)がある。第2次大戦中の半年以上にわたって戦場となり,市街の大半は破壊されたが,戦後復興。84万5558人(2009)。

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