ロシア連邦西部、ボロネジ州の州都。中央黒土地帯の経済・交通の中心地。人口90万8000(1999)。1586年ボロネジ川の険しい岸辺につくられた要塞(ようさい)都市から始まり、17~18世紀に、航行可能なボロネジ川、近辺の森林、防備の固い都市という条件から、ロシア海軍の艦艇建造の拠点となった。付近の農業開発が進むと、18~19世紀には穀物取引の中心地となり、鉄道開通後は農産物加工工業も発展した。ロシア革命(1917)前、すでに中央黒土地帯第一の都市となり、1913年この地域で初めて大学(農業大学)が設立された。革命後、中央黒土地帯の経済再建を担い、機械(食品工業機械・設備、建設、農業機械生産)、化学(合成ゴム)などの工業化が進められた。現在、鍛造、プレス機、ラジオ・テレビ製造、化学(タイヤ、プラスチック)の各工業が前記工業諸部門とともに発展している。南郊に原子力発電所がつくられ、天然ガスパイプラインにより工業・民生用燃料の供給を受けている。モスクワとドン川下流を結ぶ河川交通に恵まれ、鉄道、道路が分岐し、空港もある。総合大学をはじめとする8大学、詩人ニキーチンの博物館、コリツォフ博物館、郷土博物館、各種劇場などが置かれている。ボロネジ川右岸の旧市域には、17~18世紀の建築記念物が保存されている。
[中村泰三]
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ロシア連邦,ヨーロッパ・ロシア中央部に位置するの同名州の州都。人口84万9000(2005)。モスクワの南南東587km,ドン川支流ボロネジ河畔にある。1586年南方地域に対する前哨基地として建設され,ピョートル1世の対トルコ戦争期にはこの地で艦隊が建造された。帝政時代には畜産や農業製品の取引で栄え,ソ連邦時代に工業都市として発展した。第2次世界大戦では,1942年7月から半年以上にわたって戦場となり,市街は破壊されつくしたが,戦後復興し,機械,ラジオ,テレビなどの製造,合成ゴム工業が盛んである。
執筆者:倉持 俊一
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