日本大百科全書(ニッポニカ) 「コフキサルノコシカケ」の意味・わかりやすい解説
コフキサルノコシカケ
こふきさるのこしかけ / 粉吹猿腰掛
[学] Elfvingia applanata (Pers.) Karst.
担子菌類、サルノコシカケ目マンネンタケ科のキノコ。普通は半円形、ときに馬蹄(ばてい)形。多年生で年々成長を続け、径50センチメートル、厚さ40センチメートル以上にもなる。表面は厚くて硬い殻皮をかぶり、灰白色ないし灰褐色だが、その上にココアの粉をまぶしたように胞子が積もり、ココア色を呈することが多い。縦に割ると、上層はフェルト質でチョコレート色の肉、その下に垂直に配列する管孔(くだあな)が幾重にも層をつくっている。これが多年生であることの象徴である。裏面は黄白色、微細な孔が並ぶ。胞子は卵形、厚膜、顕微鏡では淡褐色を呈する。広葉樹の立ち木や枯れ木に生え、材の白腐れをおこす。癌(がん)の民間薬として広く用いられ、漢方薬種商では梅寄生(ばいきせい)の名で売られるが、中国では樹舌(じゅぜつ)の名でよばれる。癌の薬としては、1日量15~20グラムを約500ccの水で煎(せん)じ、3分の1に煮つめて、煎汁液を飲む。
[今関六也]