翻訳|cornea
角化組織ともいう。つめ,ひづめ,毛,ウシの角の外被,ヒゲクジラのひげ,爬虫類のうろこ,くちばしの外被,カメの甲羅の表面など,本来,空気中で生活する脊椎動物の体表に生じる硬い死組織を総称する語。角質の主成分はケラチンと呼ばれる硬タンパク質である。この点で,無機塩類(カルシウム)を主成分とし,体の内部に生じた硬組織である骨や歯とは異なる。角質は,もと脊椎動物が陸生化したとき乾燥を防ぐ適応として生じたと考えられるが,体表を覆って動物体を保護する役目を担うほか,ときにはサイの角のように攻撃用具になっている場合もある。哺乳類では,つめと毛(いずれも硬い種類の角質からなる)以外にも,皮膚の最表層には比較的軟らかい種類の角質層が存在しており,一種の防水加工のように,体内の水分の蒸発を妨げたり,あるいは逆に体表をぬらす水が体内にしみ通るのを防いだりするのに役立っている。人体では手掌や足底の表層の角質はとくに厚い。いわゆる〈たこ〉,魚の目は,そのような部位での角質の過度の増殖にほかならない。また,いぼ状の皮膚病変の多くは角質産生異常によるものである。
陸生脊椎動物では,表皮の最深層(胚芽層)で新しい細胞層が発生するにつれて,それより古い細胞層はしだいに表面近くへ浮かび上がるとともにケラチンが沈着し,やがて死組織である角質となる。この過程を角質化(または角化)という。角質化は体の全表面でおこるが,形成される角質の種類によって様式が異なる。ひとたび角質化した組織の運命はさまざまで,哺乳類や鳥類の皮膚におけるように〈あか〉や〈ふけ〉としてたえず剝離(はくり)していく場合のほか,いったん独立の器官になってから脱落する場合(毛や羽毛),外面で磨耗はするがしだいに蓄積されて厚くなる場合(ウシの角の外被やカメの甲の鱗板(りんばん)),体表全体の角質層が一体となって周期的に剝離する場合(ヘビの表皮),軟らかいくずとして剝離する場合(両生類の表皮)などがある。
執筆者:山内 昭雄+田隅 本生
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…眼球の前方最表層にある透明な球面状の膜。眼球壁の一部を構成するとともに,光を取り入れ屈折させる重要な働きをする。成人では,直径は11~12mm,表面での曲率半径は約7.5mm,厚さは中央では約0.5mmであるが周辺部では0.7~0.8mmと厚くなる。光学的屈折率は1.372であり水よりも大きい。光は空気中から角膜に入るため,ここで大きく屈折されるが,その屈折は水晶体での屈折よりもはるかに大きい(水生脊椎動物の場合には角膜にレンズ作用がない)。…
…動物の体表に存在する硬い小片を一般にうろこといい,〈こけら〉ともよばれる。動物学的に定義すれば,脊椎動物の皮膚に生じたリン酸石灰質あるいは角質(ケラチン質)の小片である。うろこは体の保護,乾燥に対する防御だけでなく,感覚器としての機能をもつ場合もある。…
…頭毛,頭髪,髪の毛などとも称される。そもそも毛とは皮膚の表層をなす細胞群が硬いタンパク質性の物質塊(角質)に変化して生じたものであるが,その際に皮膚表層が1本1本の毛をとりかこむようにして体内へ深く(髪の場合は4~5mm)陥入し,毛包を形成する。生体から髪をむりに引き抜くと髪の根部にぶよぶよの組織が付着していることが多いが,この組織が毛包にほかならない。…
…硬タンパク質の一種。動物がその生体を外界から隔離するために形成した保護外被,すなわち皮膚角質層,毛髪,羊毛,羽毛,角,つめ,うろこ,くちばしなどを形成している類似タンパク質の総称。角質ともいう。…
…軟骨魚類や原始的な硬骨魚類では,表皮の上皮細胞と真皮乳頭の間葉細胞によって,エナメル質と象牙質をもつうろこが形成されるが,進化した硬骨魚類では(図2),真皮中に存在する骨片だけのうろこに変化している。 水生両生類は魚類とほぼ同様な皮膚をもつが,陸生両生類や爬虫類では表皮の表層部が角質化し,表皮が角質層と胚芽層に区別されるようになる。角質層は体内の水分保持のために発達したものであるが,両生類(図3)では薄く,真皮中に陥入した多細胞腺の分泌物が体表を保護している。…
※「角質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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