翻訳|siphon
サイホンともいう。一端が長い曲管を倒立し,圧力差を利用して,短いほうの口からとり入れた液体を他端から流出させる装置。ギリシア語のsiphōn(管の意)に由来する。曲管内に水を満たし,短いほうの口を上部の液面の中に浸して用いるが,これが作動するためには液体が管内を満たしてとぎれることのないようにしなければならないので,上部の液面から測った最高所の高さhには限界がある。すなわち液体の密度をρ,重力の加速度をgとするとき,ρghが液面にかかる圧力pより大きい場合は最高所に真空ができてしまうのでサイフォンは働かない。1気圧の下での水の場合,この限界は約10mである。サイフォンは外気に触れるのをきらう薬液の移しかえ,発電用の水を貯水池から導く場合(伏せ越しという)などに用いられる。
執筆者:橋本 英典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ダッチコーヒーと呼ばれるのは,普通こうした水出しの濃厚なコーヒー少量をホットミルクに入れたものである。 サイフォンは浸漬と透過を兼ねた形式の器具である。耐熱ガラス製の上下のボールのうち,下段のボールの湯を沸騰させてから,あらかじめ粉を入れて置いた上段のボールをさし込むと,蒸気圧によって熱湯が上昇して浸出を行い,火を消すと浸出液はろ過具を通って下段に吸引される。…
※「サイフォン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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