翻訳|siphon
液体をその液面の高さより高いところへいったん持ち上げてのち、低いところへ移すためのへの字形のガラス管をいう。これは、真空の管なら、大気の圧力p0によって液体はh=p0/ρg(ρは液体の密度、gは重力加速度)まで持ち上げることができる(トリチェリの定理)ことを利用したものである。たとえば、風呂(ふろ)にゴムホースをサイホンのように差し込み、ゴムホースの端から空気を吸ってやると、ホースの中の圧力pは、大気の圧力p0より小さくなり、水はこの圧力差によりL=(p0-p)/ρgの高さまで持ち上げられる。したがって、風呂桶(おけ)の高さと水面の高さの差lがLより小さいと水は外へ流れ出す。このように、大気の圧力と容器内の圧力差を利用して水面より高いところに水を持ち上げるサイホンの原理を利用したものに、高層アパートの屋上の貯水タンクに水をあげる場合とか、井戸の給水ポンプの例などがある。真空の場合、水は約10メートルの高さまで持ち上げられる。
[池内 了]
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…サイホンともいう。一端が長い曲管を倒立し,圧力差を利用して,短いほうの口からとり入れた液体を他端から流出させる装置(図)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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