サグントゥム(読み)さぐんとぅむ(英語表記)Saguntum

日本大百科全書(ニッポニカ) 「サグントゥム」の意味・わかりやすい解説

サグントゥム
さぐんとぅむ
Saguntum

イベリア半島南東部にあった古代都市。現在のスペイン、バレンシア北東25キロメートルに位置し、すでに紀元前二千年紀からイベリア人系の先住民エデタニの居住地であった。ギリシア人との交易関係が深かったが、やがてローマ人の進出に伴ってローマと同盟関係を結んだ。このため、ハンニバルに率いられたカルタゴ軍が前218年この都市を包囲・占領したことが、第二次ポエニ戦争の呼び水となる。その後、ローマ人によって再建され、アウグストゥス帝治下には自治市として公認され、イチジク栽培や製陶業で栄えた。西ゴート時代から19世紀後半までムルビエドロ(古い城壁)とよばれ、現在でもイベリア人の城壁、ポエニ人の建物、ローマ人の劇場などが残存する。

[本村凌二]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「サグントゥム」の解説

サグントゥム
Saguntum

現名サグント(Sagunto)。イベリア半島の先住民イベロ人の定住地を起源とするバレンシア近郊の都市的集落。ローマと同盟を結んだために,第2次ポエニ戦争ハンニバル最初の攻撃目標となったが,前214年ローマによって奪回された。

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世界大百科事典(旧版)内のサグントゥムの言及

【サグント】より

…良港を有し,1960年ごろは製鉄業が栄えた。イベロ族に起源する町で旧名をサグントゥムSaguntumといい,ギリシア人が建設したといわれる。前219年にカルタゴのハンニバルによって征服され,第2ポエニ戦争の発端となった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」