日本大百科全書(ニッポニカ) 「サドビャヌ」の意味・わかりやすい解説
サドビャヌ
さどびゃぬ
Mihail Sadoveanu
(1880―1961)
ルーマニアの小説家。モルドバ地方の出身。早くから小説を書き、民衆派文芸誌『種播(ま)く人』の同人となり、1904年、『声なき悲しみ』など3冊の短編小説集、歴史小説『鷲(わし)』を発表して、文壇的地位を確立した。以後、百数十編に及ぶ中・短編小説のなかで、機械文明に抗して、自然との交流のなかに人間性を守り抜こうとする人々、資本主義化のなかで破滅する知識人などを描き続けた。多くの歴史小説もある。代表作に短編集『水の王国』(1926)、長編『斧(おの)』(1930)、長編『ニコアラ・ポトコアバ』(1952)などがある。1960年レーニン平和賞受賞。
[直野 敦]