サボイオペラ(その他表記)Savoy Opera

改訂新版 世界大百科事典 「サボイオペラ」の意味・わかりやすい解説

サボイ・オペラ
Savoy Opera

イギリスの劇作家W.S.ギルバート台本と詞,イギリスの作曲家A.S.サリバンが曲を書き,1871年から96年にかけて発表された14編のオペレッタサリバンの初期の作品の収益によりドイリー・カートRichard D'Oyly Carteが建てた劇場が1881年にサボイ劇場として開場し,以後はここがおもな上演場所となったため,〈サボイ・オペラ〉の名がある。ただし,音楽を伴わないせりふが頻出するので,厳密にはオペレッタと呼ぶべきである。有名な作品は,《軍艦ピナフォア号》(1878),《ペンザンス海賊》(1880),《ペーシェンス》(1881),《ミカド》(1885),《ゴンドラの舟人》(1889)など。いずれもメロドラマをもじった荒唐無稽な物語と複雑な脚韻を用いた詞をもち,イタリア・オペラのパロディを盛りこんだ軽快な曲がついている。英米では職業歌手や俳優だけでなく,学生や素人の団体によってもしばしば上演され,今なお広く愛好される。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のサボイオペラの言及

【イギリス演劇】より

…他方この時期には,歌や踊りや奇術などを雑然と並べたミュージック・ホールや,伝奇的内容を歌や踊りで綴り,風刺性を加えたパントマイムなど,イギリス独自の大衆芸能も成立した。1870年代から90年代にかけて,W.S.ギルバートの脚本と詞,A.S.サリバンの曲によって発表された,〈サボイ・オペラ〉と呼ばれる一連のオペレッタも人気を集めた。
[20世紀]
 イギリス演劇をヨーロッパのものに近づけようとする運動は,J.T.グラインが1891年に創設した独立劇場クラブに始まる。…

【ギルバート】より

…1860年代に滑稽詩やバーレスク劇を発表し始めたが,最も有名な作品は1871年から96年にかけて上演された14編の音楽劇である。これらはA.S.サリバンが曲,ギルバートがせりふと詞を作ったもので,その多くがロンドンのサボイ劇場で演じられたため〈サボイ・オペラ〉と呼ばれることがある。《軍艦ピナフォア号》(1878初演),《ペンザンスの海賊》(1879初演),《ペーシェンス》(1881初演),《ミカド》(1885初演),《ゴンドラの舟人》(1889初演)などが代表作。…

※「サボイオペラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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