精選版 日本国語大辞典 「サラセン帝国」の意味・読み・例文・類語
サラセン‐ていこく【サラセン帝国】
七世紀中頃から一三世紀中頃にかけて、西アジア、北アフリカ、南ヨーロッパの広大な地域を支配したイスラム教徒(サラセン人)の諸帝国。元首はムハンマド(マホメット)の後継者、カリフ。東方ではメディナに都した正統カリフの時代(六三二‐六六一)、ダマスカスに都し、ビザンツ文化の影響の濃いウマイヤ朝(六六一‐七五〇)、バグダードに都し、ペルシア文化色豊かなアッバース朝(=東カリフ 七五〇‐一二五八)と続いたが、一二五八年、蒙古軍によって滅ぼされた。のち、一六世紀にはオスマントルコ、サファビー朝、ムガール帝国の三帝国となった。なお、コルドバに都してスペインを支配した後ウマイヤ朝(=西カリフ 七五六‐一〇三一)もまたサラセン帝国に含まれる。サラセンは、中世ヨーロッパでの呼称。イスラム帝国。
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