シトステロール

化学辞典 第2版 「シトステロール」の解説

シトステロール
シトステロール
sitosterol

α1-,β-,γ-シトステロールの3種類が知られている.【α1-シトステロール(α1-sitosterol).C30H50O(426.73).シトロスタジエノールともいう.ナス科ジャガイモSolanum tuberosimの葉や,小麦の胚芽油から単離されたステロイド無色の針状晶.融点164~166 ℃.-1.7°(クロロホルム).ジギトニンで沈殿する.【】β-シトステロール(β-sitosterol).C29H50O(414.72).もっとも一般的な植物ステロールで,綿実油,トール油,大豆油,小麦やライ麦の胚芽油などに多く含まれるが,キナの皮や樹脂,そのほかの動物,植物にも広く分布している.スチグマステロールカンペステロールと共存していることが多い.板状晶.融点140 ℃.-37°(クロロホルム).前立腺腫の治療に用いられる.【】γ-シトステロール(γ-sitosterol).C29H50O(414.72).大豆油中の主要成分.β-シトステロールの C24 位の立体異性体.融点147~148 ℃.-43°(クロロホルム).

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「シトステロール」の解説

シトステロール

 C29H50O (mw414.72).

 植物ステロールの一つ.コレステロールの吸収阻害活性がある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シトステロール」の意味・わかりやすい解説

シトステロール
sitosterol

穀類に多く含まれる植物ステロールの一群で,炭素原子数は 29または 30。α体が3種,β体,γ体が知られている。

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世界大百科事典(旧版)内のシトステロールの言及

【ステロイド】より

…コレステロールは動物のさまざまな生理機能をもつステロイドの前駆体となっている。コレステロールは植物にはほとんど存在せず,植物由来のステロールはフィトステロールphytosterolと総称され,ダイズなどに存在するスチグマステロール(図4)や綿実油やダイズ油中に存在するシトステロールがその例である。酵母やキノコ類のステロールはミコステロールmycosterolと呼ばれ,そのうちエルゴステロールergosterol(図5)は太陽光(紫外線)の照射によって,カルシウムの生体輸送と沈着に役割を果たすビタミンD2に転化する重要な分子である。…

※「シトステロール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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