日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジギトニン」の意味・わかりやすい解説
ジギトニン
じぎとにん
digitonin
ステロイドサポニンの一つ。分子式はC56H92O29で分子量は1229、融点235℃。ジギタリスの葉、種子に含まれ、エタノール(エチルアルコール)抽出によって得られる。配糖体の一つであり、加水分解により、1分子のジギトゲニン、2分子のD-グルコースとガラクトース、および1分子のキシロースが得られる。コレステロールはジギトニンと安定な不溶性化合物ジギトニドを生成する。このことは、コレステロールの分離や定量に用いられている。また、動物性または植物性油脂からステロール類をジギトニドとして分離させたあと、無水酢酸でアセチル化して得られたアセチル化物は、動物ステロールと植物ステロールでは融点が異なる。このことは、飲食物の脂質試験に利用されている。そのほか、界面活性剤として、膜タンパク質の可溶化などに利用される。
[飯島道子]