シーケンシング(塩基配列解析)

内科学 第10版 の解説

シーケンシング(塩基配列解析)(遺伝子診断)

(4)シーケンシング
(塩基配列解析)
 DNAの一塩基が置換されると,アミノ酸が変化する場合や終止コドンになって途中で切れた蛋白質が形成される場合がある.現在ではジデオキシ法とPCR法を組み合わせたサイクルシーケンシング法を用いた自動シーケンサーが一般化している.血液腫瘍で認められる点突然変異ヘテロであることが多く.変異のある部位は正常アリルと変異アリルに由来する塩基の波の重なりとして観察される(図14-5-5).したがって,逆向きのプライマーを用いて相補鎖での変異を確認する.検体に含まれる腫瘍細胞の比率が低い場合には変異を見逃すことがある.
 点突然変異が予後や治療抵抗性に関与する場合がある(滝ら,2005).t(8;21)を示す急性骨髄性白血病(AML)の約40%でc-KIT遺伝子のキナーゼ領域に突然変異が認められ,予後が不良である.また,FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3)遺伝子でもキナーゼ領域に突然変異が報告されている.慢性骨髄性白血病におけるABL遺伝子の点突然変異T315 Iはイマチニブに対する抵抗性に関与している.同様の現象は,急性前骨髄球性白血病(APL)におけるt(15;17)によるPML-RARA融合遺伝子でも認められ,オールトランス型レチノイン酸の治療に対する抵抗性に関与している.[谷脇雅史]
■文献
Jaffe ES, Harris NL, et al eds: World Health Organization Classification of tumors. In: Pathology and Genetics, Tumor of Hematopoietic and Lymphoid Tissues, IARC Press, Lyon, 2001.
滝 智彦,谷脇雅史:造血器腫瘍の染色体検査(遺伝子検査)(Medical Practice編集委員会編), pp566-568,文光堂,東京,2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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