ジベカシン

化学辞典 第2版 「ジベカシン」の解説

ジベカシン
ジベカシン
dibekacin

3′,4′-dideoxykanamycin B.C18H37N5O8(451.51).カナマイシンBの半合成抗生物質.カナマイシン耐性菌でリン酸化されて不活化される2個のヒドロキシ基が除かれている.+132°(水).水に易溶.カナマイシン耐性菌を含むグラム陽性菌緑膿菌を含むグラム陰性菌に広く有効である.硫酸塩注射または点眼で使用される.LD50 61~68 mg/kg(マウス静注).[CAS 34493-98-6][CAS 58580-55-5:硫酸塩]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のジベカシンの言及

【カナマイシン】より

…なお,カナマイシンより抗菌活性,毒性がともに高いカナマイシンB(2′‐アミノ‐2′‐デオキシカナマイシン)がカナマイシン産生菌より得られカネンドマイシンと呼ばれるが(WHOではベカナマイシンと呼ぶ),これは広く一般細菌感染症(結核を除く)に注射薬として用いられる。さらにこれは,多剤耐性の腸内細菌,緑膿菌などに対して有効な新カナマイシンであるジベカシン(3′,4′‐ジデオキシカナマイシンB)の合成の出発物質としても利用される。梅沢浜夫らは,カナマイシン耐性菌の耐性機構を研究した結果,カナマイシン不活化酵素であるアセチル転移酵素,リン酸転移酵素を耐性菌が産生していることを見いだし,この酵素の影響を受けないカナマイシン誘導体の合成研究を行い,耐性菌にきわめて有効なジベカシンの開発に成功した。…

【抗生物質】より

…それ以降,いっそうすぐれた抗生物質を得る方法として,抗生物質の半合成は,リファマイシン類,テトラサイクリン類,アミノ配糖体,マクロライド抗生物質類その他に広く用いられ成果をあげている。梅沢浜夫は,ストレプトマイシン耐性結核菌に有効なカナマイシンを発見したが,カナマイシン耐性機構の研究から,リン酸転移酵素やアセチル化酵素などによる不活化機構を見いだし,これらの酵素の作用を受けないジベカシンの合成に成功した。耐性機構に基づいて有効な物質を得る方法論を築いたといえる。…

※「ジベカシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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