マウス(読み)まうす(英語表記)mouse

翻訳|mouse

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マウス」の意味・わかりやすい解説

マウス(コンピュータ)
まうす
mouse

コンピュータ入力装置の一つ。ポインティングデバイス一種で、デスクトップパソコンなどを中心に使われている。

 コンピュータ開発の黎明期(れいめいき)ともいえる1960年代、アメリカのダグラス・エンゲルバートDouglas Carl Engelbart(1925―2013)が新たな入力装置として考案NASAのバックアップもあって1967年に特許出願(取得は1970年)し、翌年には初のマウスを発表した。そのプレゼンテーションを見たゼロックス・パロアルト研究所のアラン・ケイAlan Kay(1940― )が最初のパーソナルコンピュータであるAltoに採用。1980年代に入り、アップルのスティーブ・ジョブズが自らの製品であるLisaに導入。さらに、ヒューレット・パッカード社などのハイエンドワークステーションにも採用された。その後、マイクロソフトのWindows OSも対応、パソコン全般に普及するに至っている。

 マウス本体は手のひらにおさまるほどの大きさで、それを机上などに置いて水平に動かすことで、画面上のポインターが同じ動きをする。本体裏面ボール赤外線センサーなどで、移動方向と移動量を読み取り、ポインターの動きに反映させている。本体の上部にはボタンがあり、それを押すことをクリックとよぶ。クリックすることでウインドウを選択したり画面上のアイコンを押すなどの作業を行うことができる。開発当初のマウスはボタンを3個備えており、ワークステーションなどのマウスもそのまま3ボタンが採用されたが、アップル社は簡便性を求めて1ボタンにこだわったといわれる。Windows OSでは2ボタンを採用している。さらに、本体を動かさなくてすむトラックボールタイプや、画面を簡単にスクロールできるホイール付き、ボールのかわりに光を使う光学式マウスなども一般的になった。

 細い接続ケーブルが尻尾(しっぽ)のようであり、大きさもネズミ程度だったためマウスとよばれる。赤外線やブルートゥースBlueTooth(無線規格の一種)などを使った無線のマウスも増えてきている。

[編集部]


マウス(動物)
まうす
mouse
[学] Mus musculus domesticus

哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目ネズミ科のハツカネズミの畜用品種。20世紀初頭の欧米において、近親交配で維持されていた愛玩(あいがん)用のアルビノのハツカネズミが腫瘍(しゅよう)の移植実験に使われたのが、実験動物としてのマウスの誕生である。小形で早熟、繁殖も容易で、近親交配によって遺伝的均一性の高い系統が医学・生物学領域の実験用動物として作出された。現在では200系統以上育成されているが、それらのなかには、AKR(リンパ性白血病を高率で発症する)、BALB/c、C3H(乳腺(にゅうせん)腫瘍)、C57BL、KK(真性糖尿病)などの近交系や、ヌードマウス(先天的な胸腺欠損マウスをいう)、筋ジストロフィー発症マウスなどの突然変異系など、疾患モデルとしても重要な系統が多数含まれている。これらのマウスは、系統により異なる特性をもつので、環境が制御された清浄な室内で、遺伝的に統御された動物が維持管理されている。

[土屋公幸]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マウス」の意味・わかりやすい解説

マウス
mouse

コンピュータ上に二次元的な位置情報を示すための入力装置。手のひらに収まる大きさで,しっぽのあるネズミのような形をしているためこの名がある。1968年,アメリカ合衆国の発明家ダグラス・エンゲルバートが発表した。コンピュータに接続して使用する周辺装置の一つで,一般的に表面にはボタンがあり,裏面にはボールが埋め込まれている。手で握って平面上を滑らせると,ボールが転がることで移動方向や移動距離などの情報が入力され,画面上に表示されたカーソルが動く仕組み。キーボードを操作しなくてもメニューやアイコンを選択できるので,入力操作が簡単になる。近年では裏面のボールの代わりに光学センサをもち,反射光を受けて移動内容を検出する光学式マウスが普及している。

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