日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジュリウマ」の意味・わかりやすい解説
ジュリウマ
じゅりうま
沖縄県那覇市で旧暦正月20日に行われる芸能。ジュリ(尾類)とは沖縄の遊女のこと。由来は、琉球(りゅうきゅう)王国時代に役人が自分の娘を遊女に仕立て、海外からやってくる貿易商人を接待させたが、父に会えなくなった娘たちがジュリウマ行列を計画して、年に一度だけ見物人に紛れている父に会えるようにしたと伝えられている。旧遊廓(ゆうかく)の辻町(つじまち)を上村渠(ういんだかり)と前村(めーん)渠に分け、それぞれ獅子舞(ししまい)と弥勒(みろく)神を先頭に、美しく着飾った芸妓(げいぎ)たちが、馬首をかたどった板を前帯に挟み、手綱を持って「ユイ、ユイ、ユイ」とにぎやかに囃(はや)しながら街中を練り歩いた、春駒(はるごま)系の芸能である。本来は小正月(こしょうがつ)の民俗行事の名残(なごり)で、遊廓の仕事始め、客寄せの意味をもつものであったが、その後商売繁盛を祈願するものとなった。1989年(平成1)から中断したが、2000年に再開。旧暦5月4日のハーリー(爬竜)船競漕、新暦10月の第2土曜、日曜、月曜に行われる那覇まつり(大綱引など)とともにかつては那覇の三大祭りの一つであった。
[宜保栄治郎]