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弥勒 みろくMaitreya

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

弥勒
みろく
Maitreya

釈迦仏の次にこの世に現れ,仏となるとされる菩薩。慈氏と訳する。『弥勒下生経』などによると,弥勒菩薩は現在兜率天 (とそつてん) にあって説法しており,釈迦入滅後 56億 7000万年後に下生し,釈迦の説法に漏れた無数の衆生を救済するという。下生のときにはすでに釈迦仏の代りとなっているので菩薩ではなく仏となっており,そのために将来仏,当来仏とも呼ばれる。弥勒仏信仰は,インド,中国,日本で広まり,多くの像や来迎図がつくられたが,像容は菩薩形と如来形に大別される。遺品としては,京都広隆寺の木造『半跏思惟像』 (飛鳥時代) が最も有名で,ほかに奈良当麻寺の『弥勒仏像』 (白鳳時代) ,興福寺北円堂の運慶作木造如来形の『弥勒仏像』 (鎌倉時代) などが知られる。 (→メシア )

弥勒
みろく
Maitreya

[生]270頃
[没]350頃
仏教の唯識説を説くインドの唯識派の開祖。後世の伝説では,兜率天上の弥勒菩薩と同一視された。著書にいわゆる弥勒の五法があるが,中国とチベットでは内容が異なる。中国では「瑜伽師地論」「分別瑜伽論」「大乗荘厳経論」「弁中辺論頌」「金剛般若波羅蜜経論頌」の5つを,チベットでは「大乗荘厳経論」「弁中辺論頌」「法法性弁別論頌」「現観荘厳論頌」「究竟一乗宝性論頌」と伝えられている。

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デジタル大辞泉の解説

みろく【弥勒】

《〈梵〉Maitreyaの音写。慈氏と訳す》
弥勒菩薩」に同じ。
インド仏教の二大系統の一つ、瑜伽行(ゆがぎょう)派の祖。3~4世紀、または4~5世紀ごろの人という。般若の空思想を根底にし、瑜伽行をもって唯識説を立てた。生没年未詳。

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百科事典マイペディアの解説

弥勒【みろく】

仏教の菩薩の名。サンスクリットマイトレーヤMaitreyaの音写。漢訳名は慈氏。釈迦ののちを補う未来の仏とされ,伝説では南インドのバラモンの出身で兜率天(とそつてん)にのぼり(上生(じょうしょう)),釈迦滅後56億7000万年たってこの世にくだり(下生(げしょう)),衆生を救うという。
→関連項目運慶貞慶浄土信仰半跏思惟像布袋マイトレーヤミイラ唯識説

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

弥勒 みろく

?-? 室町時代の能面師。
仮面十作(じっさく)のひとり。永享2年(1430)にまとめられた世阿弥の「申楽(さるがく)談儀」などに,日光とともに翁(おきな)面の名手としてつたえられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

みろく【弥勒】

サンスクリットのマイトレーヤMaitreyaの音訳とされているが,〈弥勒〉という名前そのものはクシャーナ朝(1世紀半ば~3世紀前半)の貨幣にあらわれる太陽神ミイロMiiroに由来すると思われる。クシャーナ朝下で用いられた言語でミイロはイランの太陽神ミスラMithraに由来し,したがってベーダの契約神ミトラMitraと関連する。インド仏教徒はMiiroをMitraに還元し,mitraが友を意味し,派生語maitreyaが〈友情ある〉を意味することから,弥勒を〈慈氏〉(Maitreyaの意訳語)ととらえたものと思われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

弥勒
みろく

生没年不詳。インド仏教瑜伽行(ゆがぎょう)派(唯識(ゆいしき)派)の開祖。サンスクリット名はマイトレーヤナータMaitreyanthaまたはマイトレーヤMaitreyaという。生没年に関し、宇井伯寿(ういはくじゅ)は270―350年としたが、干潟龍祥(ひかたりゅうしょう)(1892―1991)の350―430年説が有力である。唯識説は、弥勒―無著(むじゃく)―世親(せしん)の相承(そうじょう)のなかで大成されたといわれる。無著は、兜率天(とそつてん)に上り弥勒菩薩(ぼさつ)に教えを受けたと伝えられ、開祖の弥勒はその未来仏の弥勒菩薩と考えられてきた。しかし弥勒作とされる文献のすべてを無著に帰するのも困難であり、現在では、無著に先行して唯識説を説いた論師がおり、その者を弥勒と解するのが一般的である。中国では、弥勒作に、『大乗荘厳経論頌(だいじょうしょうごんきょうろんじゅ)』『弁中辺(べんちゅうへん)論頌』『金剛般若経(こんごうはんにゃぎょう)論頌』『分別瑜伽論(ふんべつゆがろん)』『瑜伽師地論(ゆがしじろん)』の五つが伝えられ、チベットでは上記前二書のほかに『法法性(ほうほっしょう)分別論』『現観荘厳(げんかんしょうごん)論頌』『宝性(ほうしょう)論頌』の五つが伝えられている(弥勒の五法という)。しかし、『瑜伽師地論』『宝性論頌』についてはきわめて疑問視される。弥勒の唯識説の特徴として、空観(くうがん)色の濃いことが指摘される。[竹村牧男]

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世界大百科事典内の弥勒の言及

【兜率天】より

…かつて釈迦がここにいて,ここから下界へ下った。現在では弥勒が説法しつつここを〈弥勒の浄土〉とし,遠い将来にここから下界に下る予定になっている。弥勒のもとに生まれその化導を受けようとする兜率往生の信仰は古く,阿弥陀仏の浄土への往生との優劣が争われたこともある。…

【布袋】より

…明州奉化県の岳林寺に名籍をもつだけで,嗣法を明かさず,居所を定めず,日常生活の道具を入れた布袋をかつぎ,杖を負うて各地に乞食し,人々が与えるものは何でも布袋に放り込んだことから,布袋の名を得た。神異の行跡が多く,分身の奇あり,一鉢千家の飯,孤身幾度の秋云々,その他,謎のような偈頌(げじゆ)が知られて,生前すでに弥勒の化身とみられた。滅後はさらに俗信が加わって,その像を画いて福を祈る風が生まれ,水墨画のテーマとなる。…

【マイトレーヤ】より

…インド大乗仏教の瑜伽行派(いっさいは唯だ識の表れにすぎないという唯識説を説く学派)の始祖とされる人物。弥勒(みろく)と音訳,慈氏と意訳される。瑜伽行派の論書では,マイトレーヤは兜率天(とそつてん)に住する当来仏で,《摂大乗論》などを著したアサンガ(無著(むぢやく))に唯識の教理を伝授した菩薩であるとされるが,このような伝説は後世の創造であり,彼は実在した史的人物であるとみなす学者もあり,その代表が宇井伯寿説である。…

【弥勒経】より

…未来仏であるマイトレーヤ(弥勒)に関する経典を一括して弥勒経とよび,中国や日本では弥勒六部経あるいは弥勒三部経を数えることが多い。釈迦仏の弟子たる弥勒の兜率天(とそつてん)往生ならびに信者たちの往生を説く《弥勒上生経》以外の5経は,いずれも遠い将来に補処の菩薩たる弥勒がこの世に下生して仏陀となり教化する物語を説く。…

【弥勒信仰】より

…インドに成立し,東南アジア・東アジアの諸民族に受容された弥勒信仰は,未来仏である弥勒菩薩(マイトレーヤMaitreya)に対する信仰で,仏教に内包されたメシアニズムである。弥勒菩薩は釈尊入滅の56億7000万年後に,弥勒浄土である兜率天(とそつてん)よりこの世に出現し,竜華樹の下で三会にわたって説法し,衆生救済を果たすと信じられている。…

※「弥勒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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