スミス(Hamilton Othanel Smith)(読み)すみす(英語表記)Hamilton Othanel Smith

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

スミス(Hamilton Othanel Smith)
すみす
Hamilton Othanel Smith
(1931― )

アメリカの微生物学者。ニューヨークに生まれる。イリノイ大学、カリフォルニア大学バークリー校、ついでジョンズ・ホプキンズ大学医学部で学び、1956年同校の博士号を取得した。その後セントルイスのバーンズ病院、サン・ディエゴ海軍基地デトロイトのヘンリー・フォード病院で医療に従事し、1962年ミシガン大学の研究員。1967年ジョンズ・ホプキンズ大学の微生物学助教授、1973年同教授となり、1981年には分子生物学遺伝学教授となった。

 1970年にヘモフィルス・インフルエンザ菌からデオキシリボ核酸DNA)を切断する制限酵素を発見、HindⅡと命名した。1968年にアルバーが発見した制限酵素(Ⅰ型制限酵素)とは別種のもの(Ⅱ型制限酵素)であった。Ⅱ型制限酵素は部位特異性制限酵素で、スミスはこの酵素がDNAの特定の部位を切断するものであることを確認した。大学の同僚のネイサンズは、この酵素を利用して遺伝子の構造を明らかにする方法を開発した。その後、部位特異性制限酵素は盛んに研究され、多くの酵素が検出されるようになり、分子遺伝学は大きく前進遺伝子工学が開発されるに至った。この業績により、アルバー、ネイサンズとともに、1978年ノーベル医学生理学賞を受賞した。

[編集部 2018年8月21日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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