日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ツワイク(Arnold Zweig)
つわいく
Arnold Zweig
(1887―1968)
ドイツの小説家。シュレジアのグローガウ(現ポーランド領)に生まれる。芸術至上主義的な小説『クラウディアをめぐるノベレ』(1912)などで注目されたのち、第一次世界大戦の体験から連作『白人たちの大戦争』を生涯にわたって書き続けた。第一作『グリーシャ軍曹をめぐる争い』(1928)は無実のロシア人捕虜の処刑を扱い、「国家がすべてで、個人は虱(しらみ)のごときもの」という将軍に代表される戦争遂行者の残酷さを暴き、国際的反響をよぶ。そして三部作の予定が七巻に広がり(第七巻は未完)、大戦前夜から1918年の革命期までを描く。33年パレスチナに亡命するがシオニズムに失望。48年ベルリンに帰り、ドイツ民主共和国(旧東ドイツ)を代表する作家として活躍した。
[長橋芙美子]